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【水瀬きいチーム激励連載】クラッシュとアクシデントの大きな代償:スーパーGT岡山編

5/2(火) 22:25配信

オートスポーツweb

 レースは不測の事態、想定外の連続だ。特に2クラスが混合でレースを行うスーパーGTでは、トラブルやクラッシュなど、アクシデントが絶えない。傷ついたクルマを、夜を徹して修復するメカニック、その横で頭を抱えながら算盤をはじくチームオーナー……。そんな苦労を重ねたチームを、オートスポーツWEBナビゲーターの水瀬きいが励ましつつ、その大変さを数字を目安に紹介します。

【写真】スーパーGT第2戦富士 火曜搬入日の様子

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 サリュー!

 オートスポーツWEBナビゲーターの水瀬きいです☆ 今回のスーパーGT第2戦は富士のサーキットに来ちゃいました! そこで新しい企画をみなさまにお届けします。

その名も、『前戦で苦労したと思われるチームのお話を聞きつつエールを送るぞぉ☆』です! (編集注:「【水瀬きいチーム激励連載】クラッシュとアクシデントの代償:スーパーGT岡山編」が正式タイトルになります)

 今回は第1戦岡山の状況について、2チームに聞くことができましたので、お届けしたいと思います。

 まずは岡山の決勝の4周目のダブルヘアピンでクラッシュしてしまった、52号車埼玉トヨペットGreenBraveマークX MC。岩田勝俊チーム代表に聞きました。

 最初の質問は、クルマはどのくらいの破損具合だったのか。

「(マシンの)左側面あたりのボディ側、足回りが壊れました。半壊まではいきませんでしたけどね。ウチは“純スポーツカー”の修理は、これまでF4車両くらいしか経験がありませんでした。2名の社員メカニックが中心になって作業を進めましたが、スペアパーツなども集まらず、我々だけでなく、GTAや周囲の方たちに協力してもらって、ようやくクルマが走れる状態にできたというのが、正直なところです」と岩田監督。

 修復期間は、パーツの到着を待ってからの作業も多かったようで、この富士の直前まで掛かったそうです。

「パーツ待ちのような状態でしたね。(そのパーツを取り付ける)根本のパーツがないと、その先が付けられませんから。最後の1週間は連日遅くまで時間をかけてやっていました。できたパーツをひとつひとつ丁寧に組み上げていく作業は問題ありませんでしたね」

 やっぱり、どうしても修理代が気になっちゃいます。

■気になる修理代と富士への抱負

「マークX数台分の費用はかかってしまいましたね(苦笑)。修復はすべてが初めての経験だったので、これが普通のことだったのか、それともハードな作業だったのかすらも分からないというのが本音です。スペアパーツも(余分に)あった方がいいんでしょうけど、タダで手に入るものでもありません」と岩田監督。

「今回の富士については練習走行で走ってみないと分かりませんけど、しっかり最後までチェッカーを受けられるように、フリー走行と予選で、力を合わせてマシンを走らせたいですね。茨の道だと思いますけど、一歩一歩進むしかありません」と、今回の富士に向けての抱負を話しました。

 続いては、岡山の予選でバイパーコーナー~ストレートでコンクリートウォールにぶつかってしまった、30号車TOYOTA PRIUS apr GT。aprの金曽裕人監督に話を聞きました。

「壊れたパーツは多かったですよ。マシン左側の前後ともアウト。ほぼ、何も使えない状態でした。我々はGT3と違い、自分たちでクルマを作っていて、スペアパーツも潤沢にあります。カウルなども予備を持ってきているので、すぐに修復が可能でした」

「ただ、今までは日曜日の朝にフリー走行があってマシンが完全に直ったか日曜にチェックできていたんです。今回はフロントのダンパー付近に強い衝撃があり、実はダンパーなどは完璧な状態ではありませんでした。しかし、ぱっと見た感じでは問題なさそうだったので、そのまま使用したら足の動きとダンパーの動きがリンクしていなくてアーム側に負荷がかかってしまい、レース中にリタイアすることになりました」

 どうやら、日曜日のフリー走行がない今季のスケジュールの難しさが出てしまったようです。

「ぱっと見ではまったく問題なさそうで、そのままでいったら、そこがボトルネックになってしまったわけです。僕たちとすれば、せっかく徹夜したんだから『そこも替えておけよ』という話なんですけど、こればっかりは走らないと分かりません。(ウォームアップの)20分で走りはしましたけど、ハンドルが少し曲がっていると聞いて怪しいなとも感じていました。ただ、すぐにグリッドに向かわねばならず、ドタバタでしたよ」

 修復にどれくらい時間が掛かったのでしょうか。そして、金額的にどのくらいだったのか……。

■スーパーGTに懸けるオトコのロマン

「予選でクラッシュしてから、翌朝4時までにマシンはほぼは直っていました。ただ、そこから細かいところを調整したり、(新しいカウルに)カッティングシートを貼って外観を整えるのに、さらに2時間。全部終わったのは6時くらいですね」

「(修理総額は)だいたい700~800万円くらいかな。ただ、これがGT3だったら、この額には収まらない。1000万円はかかるでしょうね。僕たちは自分たちでパーツを作っているので、仮に修理に使ったパーツを売るのであれば、それくらいの額という話ですね。みんな、レースでぶつかっている時、高級外車1台分くらいの金額がなくなっている。恐ろしい世界ですよ」

「大クラッシュしたチームなんかは、世田谷に高級マンションが買えるくらいの費用はかかっていますね。その“マンション”がまたぶつかるかもしれないのにレースをやりたがるというのが、馬鹿な男の世界。レースの醍醐味ですね(笑)。ただ、お客さんは、そういった部分にもドキドキすると思うんです」

「そして僕たちもクラッシュは必ず起きると想定して、部品を用意しているし、設計段階でも『ここは衝撃で外れるようにしておこう』と策を講じている。部品も半アッセンブリ状態にしておいて、次に付ける時にすぐ交換できるように準備しています。もし、あの時のクラッシュを町の板金屋さんで直そうとしたら、3カ月はかかると言われると思います」

「スーパーGTに来ているメカニックたちは、どんなクラッシュでも次の日の走行に間に合わせようとするし、決勝には間に合わせる。ここ最近、予選でクラッシュして決勝に出られなかったチームはないんじゃないかな。乗用車に近いGT3でも、なんとか間に合わせますし、『このボルトが足りない』といった場合も、まわりのチームのコミュニケーションを取りながら“借り物競争”をする。ほかのチームも快く部品を渡してくれますね」

 レースで争っていても、困ったときは助け合って、またレースで戦うのがスーパーGTならではのチーム間の絆の強さ。今回は胃が痛くなるようなお話から、ほっこり暖かくなるような深イイお話まで聞くことができました。

 チームのメカニックさん、そしてチームオーナーさん、ご苦労さまでした!

[オートスポーツweb ]