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憲法施行70年 改憲、護憲の声交錯 県内「議論を」「歯止め」

茨城新聞クロスアイ 5/3(水) 4:00配信

日本国憲法が3日、施行70年を迎える。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本原理に、戦後民主主義の根幹として社会に定着してきた。しかし、国際的な安全保障環境の変化を踏まえた改憲ムードも高まり、国会での改憲発議も現実味を帯びる。県内でも改憲、護憲などそれぞれの声が交錯する。

■自分の意見持って

「(9条に)自衛隊を必要とする理由を明記することで、国民一人一人に理解を深めてもらうことができる」「今まで通りグレーにしておくべきだ」

日本青年会議所(JC)茨城ブロック協議会は4月23日、石岡、常総、水戸の3市で、憲法を考える「全国一斉国民討議会茨城大会」を開いた。

3会場で18歳から40歳までの一般市民計52人と県内JCメンバー45人が参加。9条への自衛隊の明記などについて5人程度ずつに分かれて話し合った。

日本JCは独自の憲法草案を作成するなど改憲を志向するが、同協議会で憲法問題を担当する主権者意識醸成委員長の木村浩己さん(39)は今回の討議会を「憲法論議を活発化させるため」と位置付ける。

「憲法は簡単に変えてはいけないが、一方でこのままでいいのかとなると疑問符が付く」と語る。

衆参両院で「改憲勢力」が憲法改正の発議に必要な3分の2以上の議席を持つ。国民投票の実施も現実的になる中、木村さんは一人一人が憲法ときちんと向き合うことが必要と強調する。「何となくではなく、自分の意見を持って投票してほしい」

■取り返しつかない

「やっぱり平和だな」

9条改憲阻止を掲げ活動を続ける北茨城・九条の会の代表世話人を務める藤田稜威雄さん(73)は定年後、何をやろうとかと考え、平和活動だと思い定めた。

大江健三郎さんなどが呼び掛け人となり九条の会がつくられた頃、呼応して2006年に北茨城・九条の会を立ち上げた。

最近気になるのは社会に漂う気配だ。小さなまちでは周りの目を意識せざるを得ない。「9条が好きなんてとても言えない雰囲気がある」

自衛隊への見方は東日本大震災で大きく変わった。震災発生から約1週間後、藤田さんは実家がある岩手県宮古市を訪れた。捜索などに懸命に取り組む隊員の姿を見て、心打たれた。

それでも、9条は守らないといけないと強く思う。「70年以上、戦争せずにやってこられた。いったん憲法が変えられると、取り返しがつかないことになる」

■1、2年が分水嶺

脱原発とともに、護憲運動にも力を入れる前東海村長の村上達也さん(74)は危機感を募らせる。

特定秘密保護法の制定、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈の変更、戦前の治安維持法を連想させる「共謀罪」…。矢継ぎ早に「戦後」を転換させる動きが続くことに、「改憲を阻止できるかどうかはこの1、2年が分水嶺(ぶんすいれい)」とみる。

村長時代、村政の基本に個人の尊重と幸福追求権を定めた憲法13条を据えた。「この13条があるから9条がある」との思いは強い。

懸念するのは震災と東京電力福島第1原発事故という未曽有の危機を経た社会のムードだ。村上さんは、1923年の関東大震災後に治安維持法の制定、満州事変などと一気に「暗い時代」に突入していった歴史との類似性を指摘し、「歯止めになっているのは憲法だが、変えられたら破局まで行く」。

その上で力を込める。「われわれは抵抗していかないといけない。日本人はこんなに素晴らしい憲法を手にしたのだから」       (川崎勉)

茨城新聞社

最終更新:5/3(水) 4:04

茨城新聞クロスアイ