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大阪でガンダー展、気軽な現代アート

5/3(水) 12:00配信

Lmaga.jp

2000年代に入って頭角を現したイギリスの作家で、新しいコンセプチュアル・アートの旗手と目されるライアン・ガンダー(1976~)。彼の活動を約60作品で紹介する大規模個展が、7月2日まで「国立国際美術館」(大阪市北区)でおこなわれています。

【写真】《主観と感情による作劇》2016年 公益財団法/『ライアン・ガンダー ーこの翼は飛ぶためのものではないー』@国立国際美術館(大阪市北区)、7月2日まで

ガンダーの作品には、特定のジャンルや傾向が見当たりません。彼は、絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションなど多様な手法を駆使しますが、それは作品のテーマに最適なものを選んでいるから。大事なのは、彼がどんな意図でこの作品を作ったのか、そのためにどんなコンセプトを張り巡らせたのかを読み解くことです。

このように書くと難解でとっつきにくい作品を連想するかもしれませんが、決してそんなことはありません。ガンダーは4月30日に行われた講演会で「私はメッセージよりもフレームワーク(枠組み、構造)に興味がある」と述べ、「何千、何万ものストーリーが含まれている作品を作りたい」と発言しました。つまり、彼の作品には決まりきった解答がないということ。自分の感性で作品と向き合えばよいわけで、そういう意味ではむしろカジュアルな現代アートと言えるでしょう。

本展の作品には、改造された500体の玩具人形や、壁を突き破って床に転がっている彫刻、無数の矢が突き刺さった情景など、ビジュアル性に富んだものがある一方、一見では意図を理解し難いものもあります。まずは自分の感性を頼りに作品と向き合い(1周目)、助けが必要だと思ったら音声ガイドを使用してください(2周目)。音声ガイドには、全作品の簡単な説明が収録されています。ただし、音声ガイドを聞いて理解した気になるのはいただけません。1周目と2周目の知見を基に最後にもう一度会場を1周し、あらためて作品との対話を楽しむのです。き っと印象が変化しているでしょう。筆者としては、この3周鑑賞法をおすすめします。

なお、別フロアでは美術館の収蔵作品展が同時開催されていますが、今回は特別にライアン・ガンダーが展覧会の作品をセレクトしています。こちらも併せてお楽しみを。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

最終更新:5/3(水) 12:00
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