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スマホで糖尿病治療?血糖値のコントロール実験に成功

ZUU online 5/4(木) 17:10配信

糖尿病のマウスに光操作できる細胞と赤外線に反応するLED(発光ダイオード)を埋めこみ、スマホの赤外線通信機能を利用して信号を送ることで、ホルモン分泌を調節するという糖尿病治療法の共同実験に、中国の研究者が成功した。

将来的には、糖尿病も含めた人間の慢性疾患治療にも応用できると期待されている。

■スマホに血糖値データを送信後、ホルモン分泌を促す

通常、血液中のグルコース(ブドウ糖)は、血糖値をさげる働きのあるインスリンやインスリンと逆の作用をもつホルモンによって、一定の数値に保たれている。何らかの原因がインスリンが十分に作用せず、血糖値が高くなった状態が糖尿病だ。

主な原因はインスリンを分泌する肝臓の細胞障害(1型糖尿病)、インスリンは分泌されているが少量あるいは機能が不十分(2型糖尿病)などだが、遺伝子異常や薬剤の使用、病気、妊娠などで発生する場合もある。糖尿病の治療では、グルコースを一定の範囲に調節することが重要なカギとなる。

今回複数の機関に属する中国の研究者が共同で行った実験は、光遺伝学(遺伝子学の手法を用い、光に反応して活性化するたんぱく分子を特定の細胞に発現させ、光で操作する技術)をベースにした画期的な試みだ。

あらかじめ組み込まれた血液中のグルコース値を測定するシステムからスマホにデータが自動的に送信され、定期的に数値テストが行われる。スマホは分析アプリで受信したデータを検証し、必要なインスリンの量を算出する。インスリンが必要な場合、LEDに信号が送られ、細胞にホルモン分泌を促すという仕組みだ。

■糖尿病による合併症予防にも効果的?

数週間にわたって実施された実験では、マウスの血糖値を一定に保つことに成功したという。開発が段階的に進められれば、やがて人間の糖尿病治療への実用化も期待できる。特にインスリン注射の必要な1型糖尿病の患者は、注射のわずらわしさから解放されることになるだろう。

また糖尿病による目の病気(糖尿病性網膜症)や腎臓の病気(糖尿病性腎症)、末端神経の病気(糖尿病性神経障害)といった合併症を、未然に防げる可能性も高くなる。

実験に参加した上海の華東師範大学、ジャーウェイ・シャオ教授 は、「遺伝子操作によって人間の細胞にインスリンを分泌させることは可能だ」と断言する一方で、デジタルセンサーなどによる人工的な操作が人間の体の自然な機能には劣る点を認めている。

■テクノロジーの進化で大きな変貌を遂げる医療分野

スマホが生活の一部となった近年、このように医療分野をターゲットにした取り組みが活発化している。数年前から進められているのは、クラウドやビッグデータ、機械学習技術などを利用した患者情報の管理や処理だ。

スマートフォンを医療に特化させることで、医師と患者間のコミュニケーションが向上したほか、血圧、心拍数、コレステロール値などを測定・記録し、健康管理に役立てるアプリも続々と登場している。

スマホによるグルコース恒常性の調節に成功したシャオ教授は、スマホの普及により、最新のテクノロジーと医療を慢性疾患の治療分野に取り入れる試みが、今後ますます盛んになると予測している。

糖尿病を含め、これまで薬物でしか対応できなかった疾患病の治療が、テクノロジーによって大きく変化を遂げようとしている。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

最終更新:5/4(木) 17:10

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