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観光列車 ノってけ 産品売り込み続々

5/4(木) 7:02配信

日本農業新聞

 鉄道会社が、豪華な観光列車を相次ぎ投入している。車内で乗客が楽しむのは、農村風景と地場産の農産物や加工品を使った特徴ある食事だ。各社は単なる移動手段にとどまらない存在感を鉄道に演出し、新たな利用客を取り込む狙い。農産物の付加価値を高める販路になるとみたJAや生産者は、こぞって鉄道各社に産品を売り込んでいる。

焼酎や食材特別感演出 PR効果有望視

 「乾杯」。列車が熊本駅を出発した数分後、客席から明るい声が上がる。JR九州が今春から運行を始めた観光列車「かわせみやませみ」の車中の様子だ。人吉球磨地方の28の酒蔵と連携し、列車に焼酎バーを常設。休日には酒造組合のメンバーや生産者が醸造方法や味の違いを紹介する。米が原料の「球磨焼酎」が目玉で、古酒やプレミア品など車内にいながら酒蔵体験ができると好評だ。地元農家が作った漬物や卵のみそ漬け、鹿肉の薫製など総菜6種類のおつまみセットも用意する。

 球磨焼酎酒造組合の田中幸輔専務は「外国人や鉄道ファンが多く、SNS(インターネット交流サイト)で発信してくれる」とPR効果を実感する。球磨焼酎の原料の米は、JAくまでも地元16の蔵元と契約を結び、作付けを拡大している最中だ。JAは「米焼酎の認知度アップにつながり、地域に足を運ぶきっかけになればうれしい」と期待する。

 JR九州は「ななつ星」や「或(あ)る列車」など観光列車に早くから力を入れてきた。「或る列車」では、ブランド牛や有機栽培の農産物、地場産ワインなど運行ルートに沿って毎月使う食材を調達。佐賀コースでは、JAグループ佐賀の「佐賀牛」やJA伊万里の生産部会が栽培する長粒種米「ホシユタカ」を振る舞った。「ななつ星」では福岡・JAにじ産イチゴ「あまおう」や熊本・JA鹿本管内のブドウを使った「熊本ワイン」を提供した。同社は「九州の食材にこだわり、作り手や生産者を強調することで、特別感を演出できる」(営業部)と明かす。

 他社も追随する。今月1日にはJR東日本「トランスイート四季島」の運行が開始。6月にはJR西日本が「トワイライトエクスプレス瑞風」を走らせる。それぞれ車中でレストラン級の食事を提供し、非日常感を出すのに工夫を凝らす。2社とも、地元の食材をふんだんに使った料理を振る舞う。メニューは有名シェフが監修し、地域の生産者から調達した厳選素材を提供する予定だ。(木原涼子)

日本農業新聞

最終更新:5/4(木) 7:02
日本農業新聞