ここから本文です

ゴールドラッシュ“前夜”迎えるブロックチェーン、実証・適用範囲の拡大進む

5/4(木) 14:32配信

日刊工業新聞電子版

JPXの実証実験がトリガーに

 取引履歴などを分散ネットワーク上で参加者間で共有しながら安全にやりとりできる「ブロックチェーン(分散型台帳)」技術が脚光を浴びている。金融機関を中心に実証実験が相次ぐ一方で、物流の追跡システムをはじめ一般産業へと適用範囲が拡大しつつある。技術面ではいくつかの課題があるが、実用化に向けてどう解決するかが腕の見せ所となっている。

 ブロックチェーンは仮想通貨の基盤技術として知られるが、それは応用分野の一つでしかない。国内外の金融機関やITベンダーらは、低コストで堅ろうなブロックチェーン技術を金融取引はもとより、あらゆる産業分野での次世代プラットフォームに活用しようと、相次ぎ実証実験に乗り出している。

 これまでブロックチェーンはどちらかといえば話題が先行。実態としては「当面は黎明(れいめい)期が続く」(ITベンダー)との見方もあったが、この1年間で様相が変わってきた。

 トリガーとなったのは日本取引所グループ(JPX)が2016年4月から始めたブロックチェーンの実証実験だ。参加したのは、ユーザー側が三菱東京UFJ銀行や野村証券など6社。ITベンダーは日本IBM、野村総合研究所、カレンシーポート(東京都千代田区)の3社。

 JPXは検証結果を踏まえ、同年8月に「金融市場インフラに対する分散型台帳技術の適用可能性について」と題する報告書をまとめた。こうした報告書は世界的にも珍しく、金融機関はもとより広く産業界からも注目された。

実用化、一気に加速

 証券取引所では株の売買が中核業務であり、そこではスピードや一括処理能力を競う高度なシステムが求められ、ブロックチェーンには適さない。しかし、取引終了後の資金・証券の決済や株式の移転、配当金の支払いなどはブロクチェーンの適用が可能。むしろ有望分野として実証された。

 JPXは16年11月にも日本IBMの協力を得て、実証実験を実施。さらに自らがブロックチェーンのインフラを用意して、新たな実証実験を17年春以降に始めると表明。銀行や証券会社などに広く参加を呼びかけたことから、ブロックチェーンの実用化に向けた取り組みが一気に加速している。

 メガバンクは証券取引以外にも、さまざまな活用を検討中。詳細は明らかではないが、三菱東京UFJ銀行は契約業務向けに「スマートコントラクト」と呼ぶブロックチェーンの取引ルールを活用。三井住友銀行、みずほ銀行は貿易金融で必要な書類の管理や、やりとりなどに積極的なようだ。

1/3ページ

Yahoo!ニュースからのお知らせ