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儲かる北陸地域の製造業、設備投資相次ぐ なぜ「北陸」は儲かっているのか?

5/4(木) 16:00配信

日刊工業新聞電子版

「回復」から「拡大」へ

 北陸の産業界に活気がみなぎってきた。生産活動や設備投資が活発な製造業が景気の回復を先導しており、日銀の地域経済報告「さくらレポート」をはじめとした同種の経済調査もその好調さを示す。一方で、2015年3月の開業以来、地域に恩恵をもたらしてきた北陸新幹線の経済効果の剥落と、それに伴うサービス業の失速も指摘され始めた。各種経済調査の内容と現地の声を照らし合わせながら、北陸経済の現状と課題を探る。

 「おそらく年間5万―10万人は訪れるのではないか」―。4月22日に能作(富山県高岡市)が開いた新本社社屋・工場の完成記念式典。お祝いに駆けつけた自由民主党の石破茂衆議院議員や石井隆一富山県知事らを前にあいさつに立った能作克治社長は、生産現場だけでなく体験工房など産業観光向けの設備も充実した新社屋の集客力に自信を見せた。

 同社は伝統工芸「高岡銅器」の技術をもとに、スズ純度100%の「曲がる器」やデザイン製の高い生活雑貨を製造販売する。その斬新さが国内外で高い評価を受け、売り上げとともに見学者も右肩上がりに増えている。

 伝統工芸に新風を吹き込む地域創生の旗手として注目される同社には、16年に2万人もの見学客が訪れた。生産現場が手狭になったことに加え、「産業観光の拠点にしたい」との能作社長の思いから本社社屋・工場の移転拡張を決断した。

製造業の生産活動、全国上回る伸び

 今、北陸で好業績を背景に増産と投資に前向きな企業が目立つ。日銀が4月に公表したさくらレポートは北陸経済を「緩やかに拡大している」として、調査対象9地域の中で唯一、景気判断を前回(1月)から引き上げた。北陸経済を「拡大している」と表現するのは、05年4月のさくらレポート公表開始以来初めてだ。

 他の調査も北陸経済の順調さを裏打ちする。北陸財務局が3カ月ごとにまとめる管内経済報告は17年4月判断を前回に続き「回復している」とした。特に生産活動は「拡大しつつある」と上方修正している。

 北陸経済研究所(富山市)の「北陸の四半期経済速報」は16年10―12月の北陸の経済成長率を実質プラス1・2%(年率プラス5・0%)、名目プラス1・3%(年率プラス5・2%)と推計。国全体が実質プラス0・3%、名目プラス0・4%と低成長が続く中、北陸は「おおむね全国を上回る伸びで製造業が寄与した」(倉嶋英二総括研究員)。

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