ここから本文です

世界初の「寝台座席可変電車」583系 なぜ生まれ、消えていったのか

乗りものニュース 5/4(木) 16:10配信

特急電車として最大勢力だった時代も

 2017年4月8日(土)の運行で、国鉄型特急電車583系の最後の編成が現役を引退しました。

この記事の画像をもっと見る(10枚)

 1968(昭和43)年に登場したこの583系電車と、その前年に登場した581系電車は、鉄道ファンにもっとも愛された特急形電車のひとつです。

 その最大の特徴は「昼夜両用」でした。昼間は4人掛けボックスタイプの座席車として運行し、夜間は三段ベッドの寝台車に変身します。その仕組みは、アニメや特撮映画の合体変形メカに通じる面白さでした。『科学忍者隊ガッチャマン』や『マジンガーZ』が放送開始した1972(昭和47)年に、581系・583系電車は総勢434両となります。この数は、当時の特急用電車形式としては最大勢力でした。

 先に登場した581系は、直流電化区間と西日本の交流電化区間(60 Hz)に対応していました。そして翌年、この581系のモーター付き車両を、東日本の交流電化区間(50 Hz)にも対応させるかたちで583系が登場しました。先頭車などモーターのない車両は、581系と583系で共通でした。製造数としては583系のほうが圧倒的多数です。以下、581系を含め「583系」と表記します。

 世界初の寝台電車は1902(明治35)年にアメリカで実用化されたそうです。しかし、583系のように、寝台と座席を変換させる車両はとても珍しく、海外には例がないようです。かなり特殊な仕様とはいえ、前述のように、一時は特急電車の最大勢力となっています。なぜ、大仕掛けの583系が大量に作られたのでしょうか。583系が登場した背景と活躍を追うと、むしろ日本の鉄道を取り巻く環境が特殊だったといえそうです。

583系誕生の背景

 583系誕生のキーワードは「長距離電車大国ニッポン」「高度経済成長」「赤字国鉄」です。海外では電車は短い編成で短距離に、客車は長い編成で長距離に使われました。しかし、戦後の日本では通勤ラッシュ対策のため電車の導入が進み、混雑区間に乗り入れる長距離電車も電車化が進みました。1958(昭和33)年に東京~大阪間で電車特急「こだま」が走り始めると、客車特急より所要時間が短縮されて人気列車となりました。駆動方式も新しく、当時の一般的な電車のようにうなるような音もありません。

 これほど静かなら、寝台電車を作っても眠れるでしょう。そこで寝台電車の開発が始まります。当初は寝台客車と同じ開放寝台車として室内を検討していました。高度経済成長期に入り、鉄道の需要は急増していました。高速道路の整備は進まず、航空運賃も高額だったため、長距離の旅行は鉄道利用が常識でした。昼間だけではなく夜行列車を走らせないと需要に追いつきません。

1/3ページ

最終更新:5/4(木) 17:37

乗りものニュース