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中国 iPhone工場の内側 ー ニューヨーク大学の学生が見た「ネジをつける労働者たち」

BUSINESS INSIDER JAPAN 5/4(木) 21:10配信

想像してほしい。毎晩19時30分に出勤し、その後、食事と休憩時間を含め12時間を工場で過ごす。仕事はスマートフォンの背面にネジを1本取り付けるだけ。これを何度も、何度も、ただひたすら繰り返す。

昼間は、寮の相部屋で寝る。そして夕方には起床し、また同じ一日を繰り返す。

これが昨年の夏、デジアン・ゼン(Dejian Zeng)氏が中国・上海近郊のiPhone工場で6週間働いたときの日課だ。彼だけではない。中国や新興国にはデジタル経済の原動力となるガジェットの組み立て作業に従事する作業員が何十万人もいる。彼らもまた、毎昼夜同じような働き方をしている。

ゼン氏は他の作業員とは違い、生活のために働いたわけではない。彼はニューヨーク大学の大学院生で、自身の研究のために受託製造サービス大手のペガトロン(Pegatron)の工場で働いた。

ゼン氏は2016年夏、自身の研究のために上海の郊外にあるペガトロンの工場で6週間過ごした。

彼の話の概要は以下の通り。

・1カ月の報酬は、残業代込みで3100元(約4万8000円、※1元15.5円で換算)。部屋付き。
・寮の相部屋で、他の7人と寝起き。
・販売開始前の新型iPhone生産時の様子。
・工場の作業員のほとんどが、新しいiPhoneを買う余裕はない。
・全作業員がダウンロードしなければならない、アップル推奨のアプリがある。
・工場には悪臭が漂うことがある。その理由。
・ゼン氏が「iPhoneの生産工場がアメリカに移ることはありえない」と考える理由

多くの競合企業と同様に、アップルはペガトロンなどの受託製造サービスを使って、中国でコンピュータやスマートフォンを生産している。

このような状況に対し、トランプ大統領は、生産拠点と雇用をアメリカに移動させるようアップルに要求しており、政治的な問題となっている。

同時に、アップルの海外生産拠点は、長い間、作業員の長時間労働と低賃金を批判する声にさらされてきた。

IT業界の関係者によると、アップルは工場作業員の待遇に関する批判に対処すべく、これまでのやり方を一新した。3月、アップルは自社製品の製造オペレーションに関する年次報告書を発表した。

自分の目で実態を把握するため、ゼン氏は2016年夏、ニューヨーク大学の特別研究員としてペガトロンの上海工場に潜入した。彼の勤務先となった工場は、強制残業の疑いがあるとして2014年にBBC、2016年にはブルームバーグが取り上げた。

アップルの広報担当者はBusiness Insiderの取材に対して、ペガトロンの工場には同社社員が常駐していると語った。

アップルはペガトロンの上海工場に対して16回にわたる監査を実施し、その結果、99%の作業員は1週間の労働時間が60時間以下であり、アップル製品の組み立てに関わる作業員の1週間の平均労働時間は43時間だった。賃金は過去5年間で50%以上上昇しており、上海の最低賃金より高い。

アップル広報担当者は上記のように述べた。ペガトロンからのコメントはない。

ゼン氏は大学院卒業後、中国の非営利人権団体で働く予定だ。彼は工場で働き始めてすぐ、いつストライキが起きてもおかしくないと感じたが、ストは起こらなかった。彼はiPhoneの組み立て作業に従事する工場作業員の日常生活を調べることにした。

※インタビューは長さと分かりやすさの観点から編集されている。

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最終更新:5/4(木) 21:10

BUSINESS INSIDER JAPAN