ここから本文です

復活VW、取り残された日本市場も反転攻勢へ

ニュースイッチ 5/4(木) 13:04配信

小型車「up!(アップ)」を全面刷新。欧州では再編観測も

 一昨年に燃費不正問題が発覚したドイツ・フォルクスワーゲン(VW)。ただ2016年の世界販売はトヨタ自動車を抜き初めて首位に立ち業績も回復傾向。イタリアのフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と合併の可能性も報じられるなど自動車業界の盟主としての存在感を取り戻しつつある。一方で日本市場はいまだ完全復活とは言いがたい。今回発売した新型小型車を起爆剤にしたいところだ。

 3月の年次決算発表の記者会見。VWのマティアス・ミュラー最高経営責任者(CEO)は「我々はこれまでよりも(パートナーシップについて)オープンになっている。マルキオンネ氏(FCAのCEO)が自身の考えを伝えてくれれば非常に有用となる」と話し、FCAとの合併をめぐる協議を行う可能性を否定しないとの立場を示した。

 欧州自動車業界ではフランス・PSAグループが、ドイツ・オペルなど米ゼネラル・モーターズ(GM)の欧州事業を買収することで合意、再編熱が高まっている。

 2016年のVWの世界販売台数は前年比3.4%増の1029万9000台。中でも中国は398万2200台(12・2%増)で小型車「ゴルフ」などがけん引した。リスクである中国依存度の高さを減らすことは課題の一つ。

 それでも2017年1―3月期のグループ業績は営業利益が約44億ユーロ。前年同期の34億4000万ユーロに比べ28%の大幅増。VWのみの営業利益は約9億ユーロで、前年同期の7300万ユーロから約12倍増。スポーツ用多目的車(SUV)「ティグアン」など新型車などの販売が好調で、コスト削減も寄与した。

 ただ日本市場はいまだ燃費不正の影響を引きずっている。2016年度の外国メーカー車の輸入車新規登録台数は、15年度比5・9%増の29万8856台で、2年続けて前年度を上回った。クリーンディーゼル車や新型車の積極投入が奏功して、過去3番目の高い水準となった。

 ブランド別ではメルセデス・ベンツが同5・5%増の6万7495台で、2年続けて首位。同ブランドなど14ブランドが過去最高の登録台数となった。新車投入が相次いだBMWが、同7・8%増の5万828台で7年ぶりの2位となった。

 一方、新車投入の少なかったVWは、15年度の2位から3位に陥落。06年の集計開始以来、モデル別新規登録台数で首位だったVWのゴルフは、今回その座をBMWのミニに明け渡した。

 日本の小型車市場で巻き返す戦略車が5年ぶりに全面刷新し発売した「up!(アップ)」。スマートフォン(スマホ)との連携を強化したインフォテイメントシステムを採用し、安全装備を充実。内外装も一新した。フォルクスワーゲングループジャパン(VGJ)のティル・シェア社長は「up!は、フォルクスワーゲン(VW)で最小の車。VWの基本思想である“人を中心に考える”をテーマに、気軽に使ってもらえる車にした」と話す。

 ラインアップは3グレードを用意し、消費税込み価格は158万7000円から。新採用したインフォテイメントシステム「コンポジション フォン」は、近距離無線通信規格「ブルートゥース」でスマホと接続すると、ナビゲーションや駐車場の空き状況などを確認できる。

 専用アプリケーション「マップスアンドモア」はルートガイダンスや走行データの収集、スマホにダウンロードした音楽の再生ができる。

 安全面では、前モデルに標準装備した低速域追突回避・軽減ブレーキに加え、暗くなると点灯するオートライトや、雨の強さを感知してワイパーの振る回数を自動調節するセンサーを標準装備。デザイン面では、全長のみ65ミリメートル伸び、「5ナンバー」サイズを維持。車体色は全7色を用意した。

 日本でも復活の波に乗れるか。

最終更新:5/4(木) 13:04

ニュースイッチ