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【ライターコラムfrom岡山】長澤徹監督と湘南の曺貴裁監督…同級生指導者として“現場主義”を貫いた二人の絆

5/4(木) 13:28配信

SOCCER KING

 J2リーグ第10節のファジアーノ岡山対湘南ベルマーレの一戦は、25周年を迎えるJリーグの創設期に選手としてプレーし、その後それぞれ指導者として育成年代をはじめ様々な現場を経て岡山と湘南の指揮を執る同い年の監督がぶつかり合った90分間でもあった。

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 長澤徹監督と曺貴裁(チョウ・キジェ)監督の二人の間には同い年という共通項の他に、常に現場で選手たちと向き合ってきたからこそ通じ合えるようなシンパシーのようなものがあるのだろう。お互いにリスペクトを置きつつライバル心をもっていることは二人のコメントに現れていた。

 長澤監督は試合前から「尊敬する指導者のひとり」と語る曺貴裁監督との対戦を心待ちにしていた。「決して僕と貴裁の戦いではなくて岡山と湘南の対決」とチームとして戦う場であることも強調しながら、「勝負っていう部分はもちろん、それぞれの指導者っていう部分でもしっかりとお互いのサッカーをぶつけてやってみたい。向こうもそうと思っているだろうと思う」。そう口にする指揮官からは、指導者としての自負が滲み出ているようだった。

 一方で曺貴裁監督は試合後、感慨深く90分間を振り返った。「互いに選手を成長させようとか、どのようにすれば良くなっていくかっていうのを夜な夜なずっと語れるような仲間なんで、そういう同級生とこういう場で試合ができたってことが本当にうれしかった」。

 そして、「こういうゲームをたくさん続けていきたい」という会心の勝利を収めた曺貴裁監督は、長澤監督に対するリスペクトの気持ちを伝えてスタジアムを後にしている。「今度のゲームは徹も相当気持ちを入れてきてくれると思う。僕が言うのもなんですが、選手の成長に寄り添いながらいいチームを作っていくことに長けた監督だと思いますし、今日はたまたまうちが勝ちましたけど、内容にそんなに大きな差があったとは思いません」。

 試合後の長澤監督は「本質のところで完全に上回られた」と潔く敗北を認めた。特に前半の45分間はセカンドボール、ルーズボールの争いや球際のバトルで負けたことを「そこだけは譲りたくなかった」と悔しがり、試合の入り方に対する自分のマネージメントとピッチに立つ選手たちの責任を厳しく指摘したが、決してケガ人も多く苦しい現在のチーム状況をネガティブに捉えているわけではない。

「今は思うような感じで進んでいないように見えるかもしれませんけど、逆にチームの強さを培っているところ。なんとか勝点を積み上げながらやっていきたい。ケガをしている選手も必ず帰ってくる。慌てず、あきらめず、ブレずにみんなでやっていきたい」。長澤監督は苦しい時期もしっかりと成長への糧にしてチームを導いていってくれるだろう。

 次回に両者が対峙するのはシーズンが佳境に差し迫った第39節となる。たとえチームがどんな位置に付けてなにを目指していても、二人の指揮官が2017年シーズンのチームを導き、選手たちの成長を施してきた成果を発揮し合う場となることだろう。第39節が今から楽しみでならない。

文=寺田弘幸

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最終更新:5/4(木) 13:28
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