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将来の犯罪者は3歳では決まらない

ギズモード・ジャパン 5/5(金) 8:11配信

2016年12月の始め、子どもが犯罪者になるかどうかを予想できるという研究が発表されました。研究者たちは神経学的検査に基づいて、3歳児の脳の健康度と、成人になってから犯罪を犯す確率に関連性を見出したのです。その結果、脳の健康度が低い子どもは、80%の確率で犯罪者になっていたことがわかりました。

この研究結果は世界的に大反響を呼び起こし、私たちがついに『マイノリティー・リポート』のように、45分の脳検査だけで犯罪者扱いされる未来に来たのだと猛反発が起きました。

ただ唯一の問題は、研究でわかったのはそういうことではなかったのです。

今回ニュースになったのは「Dunedin Study」というニュージーランドで始まった大掛かりな研究で、1970年代に生まれた1,000人の生涯を追い続けています。この学術調査は過去40年で多くの発見を生み出しました。例えば、なぜ人は歳のとり方が違うのか、何が麻薬中毒を引き起こすのか、そして幼少期の体験が成人してからの生活にどう影響するのか、といったものです。直近の調査は人口のうちの小さいグループが生活保護受給者の大半を占めているという仮説の正否を調べるもので、これにより早期の支援サービスが必要なグループを特定する方法を模索していたのです。

研究者たちが参加者1,000人の数十年分の健康記録や政府記録を調べた結果、わずか20%のグループが、全体の経済的な負担の80%の原因となっていることがわかりました。さらにこの小さなグループが、全体の犯罪件数の81%、社会福祉給付の66%、処方薬の78%、そして肥満と判断される人口の40%を占めていました。また研究者たちは、1970年代に全員が3歳のときに受けた小児検診の記録を調べ、言語理解、言語発達、運動技能、社会的行動を神経学的に調べたテスト結果を比較したところ、スコアが低いほど「危険性の高い」グループに入る可能性が高いことを発見しました。実際にスコアだけを見てどちらのグループに属するかを当ててみると、研究者達は80%の確率で正解したそうです。

研究主任のRichie Poulton氏が米Gizmodoに語ったところによると、この研究の目的は教育機関や保健機関が、より支援を必要としている層に的確にサービスを提供できるようにすることだそうです。「教育や予防プログラムは十分にあるのに、それを最も必要としている人々に届かないことも頻繁にあるのです」とPoulton氏。

しかしオンラインでは、この研究の内容は歪められ、「将来の犯罪者は3歳で決まる」というクリック稼ぎの扇動的な見出しに変えられてしまいました。Poulton氏は、こういったジョージ・オーウェル的な恐怖による扇動で、研究の真の目的から意識が逸れてしまうことが「残念だ」と語っています。

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最終更新:5/5(金) 8:11

ギズモード・ジャパン