ここから本文です

【いま大人がこどもにできること(41)】 「文章はめんどくさい!」 絵文字に走る子供たち

5/5(金) 17:00配信

ニュースソクラ

伝説の国語教師 大村はまさんに学ぼう

 このところ、小学生が日本語の文章が読めない、という話をしていたのですが、先日、ついに、小学校五年生女子に「ラインで文章は書きたくない!」といわれてしまいました。

 全部、絵文字と顔文字で充分(笑)だそうです。
 「なぜ?」ときいたところ「めんどくさい!」と即答されました。

 そ、そうですか…… 「めんどくさい」か……。

 確かに……。
 女同士はいちいちいわずともツーカーなとこがあるので、絵文字だけでも用は足りる、といえば足りてしまいます。

 むしろ、その微妙なニュアンスを伝えようと思うと、文字より絵文字の方が正確に表現できる部分もあるでしょう。
 文字も万能じゃないからね。

 たとえば方言で、これは標準語で説明するのが難しい……というのは結構あるような気がします……。
 標準語にはそれにぴったりと呼応する言葉がなくて……。

 沖縄語に“わじわじする”という言葉があるんだけど、これはイライラする、とか、はがゆい、という意味なんですが微妙にそれとも違うんですね……。
 うまく説明できなくてワジワジする……んだ(笑)。

 翻訳をやってる人などは、いつもこの言葉の持ってる範囲のずれ、に悩まされたるんだろうな、と思います。
 なので、今まで言葉がなかった部分を絵文字が埋めているんだよ、といえばいえなくもない……のかもしれません。

 それにたかがラインごときになら、文字は使わなくても意味は通じる……。

 ごもっとも……。

 言葉は時がたつにつれて簡略化され、シンプルになっていくものですから、もしかしていまは、そうやって日本語がどんどん簡略化されていく過程の時代なのか? と思うときもあります。

 たとえば、私たちは雨に関する語彙はほとんどなくしてしまいました。
 もう五月雨も時雨も夕立もわからない……。

 そういう雨が降らなくなったからわからなくなったのか……、それとも言葉がなくなったからわからなくなったのか……?
 人間は言語がないとそういう状態があっても気がつかないものですから……。

 代わりに、ゲリラ豪雨、という、新しい語彙が増えたのは、それがいままでの言葉では表現できなかったからでしょう。

 特に若い子は大人にはわからない言葉を使いたがるものです。
 だって、自分たちの世界に、大人にズケズケ入ってこられたくないもの……。

 ネットの世界では、予想に反して、現実の世界以上に大人をシャットアウトするのは難しいということがやってみたらわかってしまいました……。

 だれでも入ってこられるんだものね。しかも、ときには子どものふりして……。

 フェイスブックに若い人があまり参加しなくなったのも、まあその参加のしかたというか、コミュニケーションのしかたが一手間かかって面倒だ、というのもあるけど、大人が参加しはじめたからでしょう?

 そうなると、子どもは子どもだけのサイトに逃げる……。
 そこに大人が入ってくると、また逃げる……。
 この繰り返しなんですよね、今……。

 いまの絵文字は複雑すぎて、ほとんど解読してもらわないと知らない人には読めません。
 そうすることで、子どもたちは大人に、来ないで! という予防線をはっているのかもしれません。

 だからそれはそれでいいとしましょう。
 ひらがな、カタカナ、漢字、ABCに加えて絵文字、という新しい文字体系が増えたんだと思えばいいさ。

 それでいて、こっちの言語も使えるようになってくれさえすれば、問題はないわけです。
 内輪、だけじゃなくて、外輪、にコミットできる力があればね。

 でもほっといたらそうはならない、というのはこれまでの経験からしたら明白です。
 人間、楽な方に流れるものね。

 それを食い止められるのは第一は学校の教育です(第二は家庭教育ですが、今日は時間がないのでまたこの次に……)。

 いまの日本では、ほとんどの子どもが小学校には行くのですから(公共は貧乏な子どもの味方でなければなりません)。
 そうして段階をへてきちんと教えれば、子どもはたいていのことは会得していくものです。

 えええっ? どうやって? と思われた向きにはこの本と人、をご紹介しましょう。
 かつて、日本には大村はま、という“国語の神様”といわれる、伝説の国語教師がいました。

 公立の、普通の子どもたちにどうやって教えたら彼らが日本語を会得できるか、を研究した人です。

 大きな図書館にいけば全集があると思いますが、ちくま学術文庫の『新編教えるということ』なら、いまでも簡単に手にはいるでしょう。本屋でも図書館でも……。

 『教師大村はま 96歳の仕事』(小学館)も図書館にはあるかな。

 二冊とも、素人にも読める、読みやすい本です。
 なんとかしなきゃ、と思っていらっしゃるかた……。

 とりあえずとっかかりとして、この二冊、眺めてみてください。

最終更新:5/5(金) 17:00
ニュースソクラ