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スマホ事業を再開したパナソニック、インドでの勝算

5/5(金) 15:47配信

ニュースイッチ

「自己完結経営」でニーズに素早く対応

 パナソニックはインドを戦略国に位置付けて、「自己完結経営」と呼ぶ経営体制を敷いている。決裁権を子会社に委譲し、パートナー企業の工場や販売網を活用して、できるだけ資産を持たずに事業を拡大する。意思決定の速度が上がり、現地ニーズに合う製品を素早く開発、投入できるのが利点だ。特に国内や欧州向けで撤退したスマートフォン事業は現地主導で再開して成果を上げており、他地域へ展開を始めた。

 パナソニックはインド市場に1972年に参入したが、00年前後から事業を縮小していた。インドを戦略国に指定したのは2013年。製品開発、委託生産、品質保証などの権限を現地子会社のパナソニックインド(PI、ハリヤナ州グルガオン市)に委譲し、スマホ事業を再開した。

 従来、スマホの委託生産の決裁権は日本の事業部長にあったが、権限委譲により、PI社長が事業部長と合議して決裁できるようになった。委託生産品の品質保証もPIの独自基準で行う。販売ではパートナー企業「ジャイナマーケティング」と提携。資産を少なくしたアセットライト経営に転換した。

 インドのスマホ市場は世界第2位の1兆2000億円規模だが、スマホ普及率は2割程度で年10%程度の成長が続き、競合各社がこぞって参入する。パナソニックは現在、市場シェア約2・5%を持ち、月2機種のペースで新製品を投入する。アセットライト経営に転換して約4年で一定の足場を築いた。

「韓国勢と戦えるようになった」

 インドとその周辺地域のスマホ事業の売上高は15年度の約150億円から17年度には3倍の450億円に急成長する見通し。パナソニックの役員であるマニッシュ・シャルマPI社長も「業界の成長を上回る速度で成長しており、韓国勢などの競合と戦えるようになった」と成果を強調する。

 スマホの生産は、最大市場の中国とインドのODM(相手先ブランドでの設計生産)メーカーに委託するが、アプリケーション(応用ソフト)やユーザーインターフェース(UI)はインドでも開発する。

 4月には人工知能(AI)を使って操作性を進化させるUIソフトを開発し、新機種に搭載した。現地の工科大学と協力して学生からアプリやUIのアイデアを募る取り組みも始めるなど、ITやソフト開発に強いインドの地の利を積極活用している。

 シャルマ社長はインドで成果を上げたアセットライト戦略の利点について「経営資源をコンシューマービジネスに割かずに済み、今後成長するエネルギーやセキュリティーなどの分野に割り当てられる」と説明する。

 エアコン、洗濯機、冷蔵庫などの家電製品も、自社工場の生産を現地ニーズに合う高価格帯商品に絞り、普及価格帯はODMメーカーに委託する。蓄電池や監視カメラシステムの開発などBツーB(企業間)事業に注ぐ経営資源を増やし、家電に次ぐ成長の柱を育てる考えだ。

 インドには14年に南アジア、中近東、アフリカ(ISAMEA)地域全体の統括機能を設置。スマホ事業を先駆役としながら成功事例の横展開を各地で進めている。

日刊工業新聞大阪支社・錦織承平

最終更新:5/5(金) 15:47
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