ここから本文です

「病気が進行しても続けたい」木山選手の東京パラリンピックへの思い

5/5(金) 22:30配信

TOKYO FM+

藤木直人、伊藤友里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMの番組「TOYOTA Athlete Beat」。
4月29日(土)の放送では車いす陸上でリオ・パラリンピックに出場した木山由加選手が登場!

木山選手がパラリンピックに初めて出場したのは、2012年のロンドン大会。車椅子陸上女子100メートルで7位、女子200メートルで6位に入賞。そして2大会連続出場となったリオ・パラリンピックでは、車いす陸上女子400メートル、女子100メートルの2種目でともに4位入賞を果たしました。
今なお難病と向き合いながら競技を続ける木山選手の思いに迫りました。

藤木「(リオでは)4位とメダルまであと一歩でしたが、逆に悔しさのほうが強かったですか?」

木山選手「4位というと端から見たら上位なので“スゴい!”と思われがちなんですけど、私の障害クラス『T52』は人数が少ないので、順位よりもタイムにこだわりたいという気持ちで臨んだのですが……、今回思うようにタイムを出せなかったのでとても悔しい思いをしました」

藤木「(思うように)タイムが出なかった要因はどう感じていますか?」

木山選手「体調管理ですね。(大会に)行く前に合宿を詰め込み過ぎちゃって……オーバーワークになって体調を崩してしまって。リオの直前にニューヨーク合宿があったんですけど、そこでもうまく調整しきれず、そのままリオという感じだったんですね」

藤木「ニューヨーク合宿は、リオでの時差を少しでもなくすために?」

木山選手「そうですね、時差調整で」

藤木「ブラジルのリオというと日本の真裏ですからね~。移動するだけでもしんどいじゃないんですか?」

木山選手「結構きつかったですね」

藤木「木山さんは手足の運動機能が低下する進行性の難病『脊髄小脳変性症』と向き合いながら競技を続けていますが、これはどういう病気なんですか?」

木山選手「負荷をかけてトレーニングが出来ないというか、それをかけることによって病気が進行しちゃうっていう病気なんですけど……」

伊藤「となると、やり過ぎても病気には良くないし……でも、競技のためには負荷をかけなければいけない状況になるわけですよね?」

木山選手「そうですね」

藤木「自分でどれくらいやるかを決めるのって、ものすごく難しいですよね?」

木山選手「症例とかは無いみたいなので、自分のさじ加減ですね。その時の体調によっては1週間同じメニューができなかったりしますし。その日によって“今日は出来るかな?”とか“今日はちょっとしんどいからやめとこう”とか、日々葛藤ですよね」

藤木「自分の中で、体調を見ながら練習法を模索して……、そういう意味でも戦っていかないといけないわけですよね」

木山選手「でも走ることが好きなので、そこは諦めたくないというか……病気が進行しても続けていきたいところではあるので、そこは仕方がないのかなと。考えても治らないですし、だから“今、出来ることをやろう!”というのが常にあって」

伊藤「病気との向き合い方や考え方は変わったんですか?」

木山選手「やっぱり、2020年(東京パラリンピック)が決まってからは、そこを目指していきたいというのがあったので。今までは病気が進行してもガツガツとトレーニングしてたんです。それで、病院の先生にも『それはやりすぎだから応援できない』と言われたりしてたんですけど。2020年が決まってからは、“今”じゃなくて長く競技を続けることを考えたら、トレーニングの内容も考えないといけないなと思うようになって。より自分の病気と向き合うようになりましたね」

藤木「木山選手は、イリノイ大学の合宿にも参加されたそうですが、何がきっかけだったんですか?」

木山選手「私みたいに細いのに体幹が使えているアメリカの選手がいたんですね。その選手はまだ若いんですけどロンドンで金メダルを4つ獲得したんです。もしかしたら同じ病気かもしれないし、その選手の練習内容とかを見たいと思って。イリノイ大学は障害者スポーツに力を入れている学校で、車いすバスケ、車いすマラソン、車いす陸上だったり……そこで色々と練習内容を見させてもらいました。(その選手は)結局、私と同じ病気ではなかったんですけど、練習内容とか話を聞いて、アメリカスタイルのほうが自分の体には合っているのかなと思って。今の練習にはすごく活きてますね」

伊藤「今まで思っていた練習法とはかなり違っていたんですか?」

木山選手「違いましたね。私個人の意見ですけど……日本人って真面目じゃないですか。データ分析もしますし、2部練習といって、午前中走ったら午後もガツガツやるっていう感じ。でもイリノイでは『2部練習って何?』みたいな感じで(笑)」

藤木「それは、練習量が少ないということですか?」

木山選手「午前中だけでした。量より質なんですかね。決められたメニューをみんな練習するんですけど、自分のさじ加減でやめていいんです。フェードアウトする選手もいれば、“まだ足りない”と思ってやる選手もいるし」

藤木「選手の自主性に委ねられている部分が大きい?」

木山選手「そうですね。それが今までは出来ていなかったんですね……与えられたメニューは“やらなきゃいけない!”という気持ちがあったので。それで合宿後に体調を崩したりということも結構あったんです。今回イリノイに行って“そういう練習法でもいいんだ”と思えるようになって、帰国してからは日本での練習や合宿でもその時の調子に合わせて出来るようになってきました」

藤木「3年後には、東京パラリンピックの開催が控えていますが、そこへの思いはいかがですか?」

木山選手「自国開催っていうのはすごく大きいと思うんです。次はないと思うので、この機会に目指せるものは目指したいと思いますし。でも、体のことも考えて、どうなっているのかが分からないのも現状なので……。1年1年を一生懸命頑張って、それが3年後の東京に繋がればいいなと思っています。今出来ることをしっかりやって、2020年あの舞台に立ちたいですね。あわよくば、メダルを獲りたいですけど、それは後からついてくるかなと(笑)。自分たちが走ることによって感動を与えられたらいいなと思っています」

(TOKYO FM「TOYOTA Athlete Beat」2017年4月29日放送より)

最終更新:5/30(火) 0:22
TOKYO FM+