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全長32メートルの巨大こいのぼり、平和願い遊泳中 豊見城市の丸浩重機、沖縄戦で失った家族への思い背景に

沖縄タイムス 5/5(金) 7:55配信

 【糸満】糸満市摩文仁の県平和祈念公園で開かれている「平和祈念こいのぼりまつり」で、巨大こいのぼりをボランティアで掲揚して3年目の会社がある。手掛けるのは豊見城市の丸浩重機工業で、比嘉俊浩社長(54)には沖縄戦で戦死した祖父、黄リン弾で背中にやけどを負った父という家族史がある。「戦争はやってはいけない」との願いを込め、摩文仁の地で全長32メートルの巨大こいのぼりを泳がせている。(南部報道部・又吉健次)

 きっかけは2年前、催しを主催する県平和祈念財団からの協力依頼。会場が会社と同じ南部にあり、掲揚で子どもが重機などに関心を持つ期待もあって決断した。「まつりには平和を願う気持ちがある。企業としても社会貢献したい」と話す背景には、比嘉社長の家族の沖縄戦体験もあった。

 祖父は旧日本軍の司令部壕のあった首里城周辺に住んでいて、爆弾で死亡。当時16~17歳だった父は黄リン弾で背中を焼かれた。首里にあったトートーメー(位牌・いはい)は米兵によって持ち去られ、30年ほど前に返還されたという。父は背中に傷を負ったまま戦後を生き、17年前に他界した。

 こいのぼりは八重瀬町のNPO法人沖縄鍾乳洞協会の山内平三郎理事長(69)らが制作。5年ほど前、別の催しで約10メートルを空に泳がせていたが、年々巨大化したためクレーンに切り替えた。今回、つり上げる重機は初めて現場に出る重量46トンの新車。約63メートルまで〝腕〟は伸びるが、高すぎると視界に入らず低すぎては人に接触するため、48メートルほどの高さを維持している。

 午前10時~午後4時の掲揚時間中、社員1人が現場で待機。雷や強風発生時には降ろす必要があるためだ。空を泳ぐ際に〝腕〟に巻き付かないよう風向きを考えて台座を回転させる役目もある。

 連休中のため職員には割増賃金を払い、工事現場なら1回あたり20万円ほどの使用料が発生するが、無償で協力を続ける。比嘉社長は「子どもたちに喜んでもらえたらうれしいし、今後も続けたい。大きなクレーンでこいのぼりが泳ぐ風景を心に焼き付け、重機オペレーターの世界に入ってくれたら」とほほ笑んだ。まつりは7日まで。

最終更新:5/5(金) 9:15

沖縄タイムス