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エリザベス英女王の夫フィリップ殿下、公務引退へ 

BBC News 5/5(金) 13:40配信

英王室は4日、エリザベス女王の夫、エジンバラ公フィリップ殿下(95)が今秋から公務を引退すると発表した。6月に96歳の誕生日を迎える殿下は、自ら引退を決断し、女王はこれに賛成したと王室は説明している。

フィリップ殿下は8月まで、すでに予定されている行事には出席するが、新しい招待は受けない方針。一方でエリザベス女王は「引き続き、公務を全面的に遂行し続ける」と王室は述べた。

殿下が出席する8月までの公務には、馬術大会やパキスタン建国70周年記念式典、花の祭典、スペインのフェリペ国王の公式訪問歓待などが含まれる。ドナルド・トランプ米大統領の英国公式訪問も年内に予定されているが、日程はまだ決まっていない。

フィリップ殿下は昨年、通算110日間にわたり公務に就いた。5番目に多忙な王族だったという。

780以上の団体を後援する殿下は、今後も各団体との関係を続けるものの、「行事への積極的な出席は今後は控える」ことになる。

引退発表から数時間後、セントジェイムズ宮でメリット勲章叙勲者の昼食会に出席した殿下は、数学者のサー・マイケル・アティヤに「(公務を)下りることにしたとうかがい、残念です」と言われ、「あまり立ち上がれないし」と冗談で返した。

3日にローズ・クリケット競技場の新しい観覧席のお披露目に出席した際には、殿下は自分は「世界で一番経験豊かな、記念碑の除幕師ですよ」と周囲を笑わせていた。

フィリップ殿下は数々の公式行事で冗談や皮肉を口にすることで知られ、それが失言となることもたびたびだった。

テリーザ・メイ英首相は、フィリップ殿下に国民を代表して「最大限の感謝」を伝え、女王を「揺るぎなく支え続けた」ことを称賛した。

野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、殿下の長年の働きを称え、引退を祝福。「エジンバラ公賞は60年来、140カ国の若者を励ましてきた」と評価した。

フィリップ殿下はエジンバラ公賞を1956年に創設。若者を支援する英国有数の賞として知られている。

フィリップ殿下とエリザベス女王は今年11月、結婚70周年を迎える。

夫妻は近年では遠方への旅行は控え、代わりに若い王族が世界各国を訪問している。

王室に詳しいディッキー・アービター氏は、殿下が「健康そのもの」で、「生きることをあきらめたわけではなく、単にフルタイムの公務から身を引くだけだ」と話す。

殿下と親しい作家ジャイルス・ブランドレス氏も、2日に会ったばかりで、公務引退は健康上の理由からではないとBBCに話した。

「隠居生活を何年か経験するためで、タイミングは熟慮の結果だと思う」とブランドレス氏。「エリザベス王女(当時)と結婚して、この秋で70年だ。なので女王の伴侶として、やるべきことはやったという気持ちなのだろう」。

フィリップ殿下はこれまでに、単独で2万2191件の行事に出席し、単独で637回にわたり海外を訪れ、スピーチを5493回行い、本を14冊執筆してきた。

<解説> ピーター・ハントBBC王室担当編集委員

フィリップ殿下は6年前に自分で口にしたアドバイスに、自ら従ったわけだ。

90歳になったとき、殿下はBBCに「消費期限を過ぎる前に出ていく方がいい」と話していた。

近年の英国王室史にとって、殿下の引退発表は大きな節目となった。

ギリシャ王室の王子で、デンマークとドイツとロシアにも血統がつながる殿下は、英王室という古い歴史的な存在に表立って70年も仕えてきた。

外国出身のアウトサイダーとして殿下は結婚当初、自分を怪しみ受け入れようとしない英貴族界を前に、苦労を重ねた。

批判する人たちに言わせると、殿下は失言王子だった。

応援する多くの人たちに言わせると、殿下は王室の存続に欠かせない存在だった。

エリザベス女王がかつてフィリップ殿下のことを、自分を力づけ保ってくれる人と呼んだのは、無理もなかった。

(英語記事 Prince Philip to step down from carrying out royal engagements)

(c) BBC News

最終更新:5/5(金) 16:28

BBC News