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公共工事 県内、入札不調相次ぐ 人件、資材費が上昇

5/6(土) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

県内自治体で公共工事の入札不調が相次いでいる。鉾田市では4月、市民交流館(仮称)建設工事で、入札に参加した共同企業体(JV)が辞退届を出した。各自治体は設計変更や工事価格の引き上げで対応するが、2020年東京五輪を控え、人件費や資材費の上昇に追い付かない状況。公共施設の整備の遅れは、住民サービスに影響が出る可能性もある。

同交流館の建設工事は3月に公示。市外1社と市内2社のJVが参加を表明したが、入札日の4月25日、JVが辞退を届け出た。他に参加はなく、入札は不調に終わった。電気、機械の各設備工事など計5件は落札業者が決定しており、肝心の建物を担当する業者が決まらない状況となっている。

同館は、ホールと公民館機能を併せ持ち、同市飯名の敷地約2万7700平方メートルに建設を計画する。市は2018年度内のオープンを目指しており、今後は舞台・ホールの施工実績や同市内での営業所の有無など入札条件緩和の検討を進める考えだ。

■供用開始ずれ込み
県内の公共工事は近年、入札不調が相次いでいる。

4月に開署した神栖警察署の建設工事入札は、14年7月から4回行われ、落札業者が決まったのは、最初の入札から9カ月後の15年4月。予定価格は当初から1億円上乗せされた。

日立市新庁舎は、建設工事の入札不調が影響し、供用開始が今年1月から同7月にずれ込んだ。市は、大手ゼネコンの入札で「落札候補者」を決めた後、地元業者とJVを組む「入札後JV結成方式」を採用。再入札で落札した大手ゼネコンが地元3社とJVを結成し、工期の大幅遅れを回避した。

石岡市は昨年実施した新庁舎建設工事入札の不調を受け、設計を見直し。屋根部分の設計変更や内装のグレードを抑えるなどして、今年2月に落札業者が決定した。

■実勢踏まえ価格を
入札不調は全国的に相次いでいる。要因の一つとして、公共工事の減少があるとされる。

全国建設業協会などの調査によると、国内建設投資は1992年度の84兆円をピークに減少。近年はわずかに増えているが、昨年度分は51兆円の見通し。

その影響は設計業者にも及ぶ。県内のある設計業者は「この価格で、と言われると断りにくい。次の仕事に響くと思ってしまう」と打ち明ける。建設業者が積算すると、利益が見込めないケースもあるという。

自治体の財政にも余裕はない。県央地域の自治体の担当者は「予算を超えれば住民理解が得られない」と苦しい胸の内を明かす。

入札不調により公共施設の整備に遅れが出れば、市民サービスに影響が出かねない。県建設業協会の岡部高明事務局長は「回避するには、正確な設計と実勢に応じた価格設定が必要」と強調する。 (大平賢二)

茨城新聞社