ここから本文です

高校サッカーの頂点に 青森山田監督「勝てる組織」を聞く

日刊ゲンダイDIGITAL 5/6(土) 9:26配信

 2016年度プレミアリーグEAST1位の青森山田高サッカー部が、16年12月にWEST1位のサンフレッチェ広島ユースとのチャンピオンシップ戦を制し、17年1月には高校サッカー選手権を制覇した――。このプレミアリーグと高校選手権のダブルタイトル獲得を評するに「偉業」という言葉がピッタリだろう。「高円宮杯U―18プレミアリーグ」は、全国の高校生年代のJユースと高校サッカー部の上位20チームが、4月開幕~12月閉幕のリーグ戦(チャンピオンシップ戦を含めて19試合)を戦って日本一を決める。「全国高校サッカー選手権」はトーナメント方式で行われ、今年度は16年12月30日開幕~17年1月9日決勝の短期決戦(優勝まで5、6試合)。同じ年度にスタイルの異なる大会で頂点を極めた青森山田高サッカー部の黒田剛監督(46)は、どうやって偉業を達成したのか? このほど「勝ち続ける組織の作り方」(キノブックス)を上梓した黒田監督に秘訣を聞いた。

■ゴールが埋まるハンデイを克服

――雪国のハンディを克服しての日本一です。

「近年は積雪量も減りましたが、青森に来た当時はサッカーゴールの2・44メートルのクロスバー辺りまで雪が積もり、クロスバーに腰掛けることもありました。確かに過酷な環境だと思います。しかし、そのハンディを逆手に取りました。たとえば雪に埋もれたピッチで50人対50人のゲームをやります。そこにボールを3個入れて2点を先に取った方が勝ち、といったルール設定にします。選手は膝まで雪に埋もれながら走り続けます。雪によって負荷がかかり、とてもよいトレーニングになります。Jリーグのユースに行けなかった部員も少なくありませんが、その悔しさをハングリー精神に置き換え、正しい方向にベクトルを向けてあげることが、彼らの《伸びしろ》となります。選手は大半が寮生活を送るのですが、雪かきをやったり、朝早く起きて食事当番をやったり、そういったサッカー以外の時間もまた、彼らの成長を促していると思っています」

――勝てるチームづくりのために何を一番、重視されているのでしょうか。

「言い古された言葉ですが、他のスポーツと比べて不確定要素の多いサッカーには《心・技・体》の3要素をバランス良く習得することが大事だと思います。まずは強い心を育み、技と体を同時に鍛え上げることでサッカー選手に必要なスキルが植え付けられます。育成優先率として、個人的には心50%・技30%・体20%の割合がベストだと思っています。もちろん全ての要素が100%に近いことに越したことはありませんが、技と体の育成においても《心》が関わり続けることが重要で、切り離して考えてはいけないと思っています」

――高校サッカー日本一監督となり、何か変わったことはありますか?

「祝賀会や報告会などが続きましたし、そういった身の回りの変化はありました。選手たちも優勝チームの3年生が抜けた新チームとなり、チームが新しく変わったことによって弱小化させるわけにはいかないと、その責任を重く受け止めています。でも、私自身のスタンスは何ひとつ変わっていません。多少のプレッシャーはありますが、ブレることなく日々、信念をもって指導していきたいと思っています。毎年のことですが、新チームをどのように強くしていくのか、今はそれだけを考えています。プレミアリーグも4月8日に開幕し、序盤3試合は浦和レッズユースに逆転負けを喫した後は、市立船橋高と大宮アルディージャユースに連勝しました。絶対に降格したくありませんので、高体連チームでもエリートチームに勝てるように細部まで神経を張り巡らせ、必死に頑張っています」

【プレミアリーグはEAST10チーム、WEST10チームに分かれてホーム&アウェー戦を戦う。それぞれの下位2チームは翌年度、下部リーグのプリンスリーグに自動降格する。青森山田高はプレミアリーグが創設された11年以降、プリンスリーグに降格したことは一度もない】

■「技術は欧米選手と遜色ないが…」

――日本高校選抜(高校選手権の優秀選手らで構成)の監督としてドイツに遠征してデュッセルドルフ国際ユース大会(4月13~17日)に参加。2勝1分け1敗で予選リーグ敗退となりました。

「引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる試合でたった一瞬、ほんの1秒ほど選手の集中力が途切れ、1本のシュートを決められたことで決勝トーナメントに進出できませんでした。大会で5試合をこなして唯一の失点でした。日本人は、テクニック的には欧米の選手と比べて遜色はありません。しかし、勝利への執念だとか、我慢比べの局面での粘り強さだとか、そういった部分は、まだまだ鍛えないといけないと感じました。まさに《心》の部分です」

――ドイツ遠征でプレミアリーグの浦和ユース戦と市立船橋高戦は指揮が執れず、4月22日の大宮戦が今季初采配となりました。後半の3得点で3―0と快勝しました。

「前半は緩慢なプレーが目立ち、ハーフタイムに『正直ガッカリした。相手に6割か7割ほどの圧力しか与えていない。気迫と厳しさのある青森山田高のサッカーを見たかった』と話しました。選手たちは奮起してくれましたね。これからもワンプレーを大切にして常に油断せず、おごらず、謙虚さを忘れず、勝ち点を積み上げていきたいと思っています」

最終更新:5/6(土) 9:26

日刊ゲンダイDIGITAL

スポーツナビ サッカー情報

海外サッカー 日本人選手出場試合