ここから本文です

リトアニアに日本の歌響け、交流続ける岐阜大名誉教授ら来月公演

岐阜新聞Web 5/6(土) 9:31配信

 リトアニアの大学と留学生の受け入れなどで交流を重ねてきた藤井洋岐阜大工学部名誉教授(77)=岐阜県各務原市蘇原瑞穂町=が来月、出身の静岡大の旧友たちと同国での合唱コンサートに臨む。加茂郡八百津町出身の元外交官、杉原千畝(ちうね)氏ゆかりの国での新たな民間交流。一同は「日本の歌で日本の心を伝えたい」と張り切っている。
 訪問するのは、2000年結成の「静岡大学OBグリークラブ」の60~70代の団員とその家族計34人。
 14年と16年の台湾公演に続く海外演奏旅行で、団員で中津川市出身の菅井俊郎さん(78)=宇都宮市=が、藤井さんの交流を基に提案して実現した。
 藤井さんが最初にリトアニアを訪れたのは、1990年10月。ベルリンの壁崩壊に続き、50年間に及んだ旧ソ連支配からの独立を宣言したわずか7カ月後だった。
 「『今の状況を見てほしい』と同国の数学者に誘われて、隣国ラトビアから夜行列車で入った。訪れた大学は教員に給料が支払われず、『自分たちで稼いでくれ』と言われて転職を余儀なくされた人もいた」
 厳しい教育環境の一方で、日本への留学希望は多かった。超音波による異物検出を研究していた藤井さんの研究室は3人を受け入れ、うち2人が博士号を取得している。
 現在、カウナス工科大で教員を務めるインガ・スキアドライテさんもその1人で、97年から03年まで岐阜大で学んだ。今回の公演では、会場の手配など現地の調整役を買って出てくれている。
 リトアニアは人口285万人の小国ながら、混声を中心に1千を超す合唱団があるという。民主化に際しては、広場で伝統曲や賛美歌を歌って抵抗したことから、「歌う革命」と呼ばれたほど歌が人々の暮らしに根差している。
 「リトアニアの合唱は世界的に有名。そこで演奏するのは恐れ多いこと」と指導役でオペラ歌手の吉川健一さん(42)=東京都=。それでも今年2月から始めた月1回の全体練習には、北関東や四国からも団員が駆け付ける。「思い出づくりぐらいの気持ちから、目の色が変わってきた」と成長を実感している。
 公演は来月22日にカウナス工科大、同24日に同国西部のタウラゲで開催。合唱曲「雨」「富士山」など十数曲を披露し、現地の合唱団やオーケストラとの共演も予定する。
 藤井さんは「公演ができるのも四半世紀の付き合いで、いい友達ができたおかげ。杉原さんの縁のある地でもあり、こうした民間交流が広がるといい」とステージを心待ちにしている。

岐阜新聞社

最終更新:5/6(土) 10:28

岐阜新聞Web