ここから本文です

休日に上司から届く業務連絡LINEが鬱陶しい、時には私的な内容も…法的問題は?

5/6(土) 8:52配信

弁護士ドットコム

休日にも関わらず、私物のスマートフォンのLINEで、会社の上司から仕事関連のメッセージが届いて不快な思いをしたことのある人もいるのではないでしょうか。

ネットのQ&Aサイトには、退勤後、上司や先輩から、今日の勤務の感想や、片付け忘れなどの些細なミスを指摘するメッセージが送られてきて、テンションが下がったという投稿がありました。

別の投稿では、上司から「今日は寒いね?」や「頑張ろう」などのメッセージが送られてきて、あまりに頻繁なので相手にしなかったら、「何で返信してくれなかったのか」と怒られたという体験談が紹介されていました。休日にショッピングモールにいるところを見られ、「はしゃいでるね」というメッセージが送られてきたこともあるそうです。

私物のスマホに対して、LINEで業務連絡をしてくることは問題ないのでしょうか。また、あまりに仕事に関係ないメッセージを送りつけてくることも問題ないのでしょうか。吉成安友弁護士に聞きました。

●勤務時間内の場合、違法とはいえない

「勤務時間内の場合であれば、私物のスマートフォンを使用させたとしても、基本的に違法とはいえないでしょう。私物の携帯電話への業務連絡が違法とはいえないことと同じです。

勤務時間外の場合も、メッセージが入るというだけで違法ということにはならないでしょう。

確かに、勤務時間でもないのにメッセージを入れられる方としては煩わしく、こういうメッセージが来ていると気持として仕事から離れられない、労働時間としてカウントされないのかといった声も聞かれます。

労働時間としてカウントされれば、労基法32条は法定労働時間を1週間40時間、1日8時間までとしており、原則としてそれ以上の時間働かせることは違法となります。また、労使間に残業を認める36協定がある場合でも、これを超える時間には割増賃金を支払う必要があります。

ただ、労働基準法上の労働時間とは、使用者(上司)の指揮命令下にある場合です。

煩わしいと思われるのはもっともですが、LINEのメッセージが入る程度では、使用者の指揮監督下にあるとはいえず、労働時間にはカウントされません」

メッセージが入るだけでなく、返事を義務付けているケースはどうでしょうか。

「これは対応しなければならない状況、頻度等によるところだと思います。例えば、非常時の連絡手段として、勤務時間外に常時LINEのメッセージを受信できる状態にすることや、受信した場合に返事を送ることを義務づけたとしても、ただちに違法であるとはいえないでしょうし、労働時間としてカウントされて、法定労働時間の規制が及ぶとはいえないでしょう。

これについては、その日の業務が終わった後に、泊まりで事業所の見回りや非常事態への備えなどを行う宿直勤務が、『常態としてほとんど労働する必要のない』勤務として、労働基準法上の労働時間規制の範囲外に置かれていることが参考になるかと思います。

一方で、LINEには宿直のような場所的な拘束がない反面、宿直が週1回以内とされるのに対し、メッセージのやり取りには365日、24時間制限がないという面があります。緊急時の連絡等に留まらず、実質的に勤務時間外もミーティングが続いているような状態となり、長時間実質的に会社に拘束されているような状況であれば、そのような義務付け自体が公序良俗違反や権利濫用等により無効、違法とされる可能性もあるかと思います。

また、義務付けが無効、違法にはならないとした場合や、会社自体が明確に義務付けをしているわけではなく、実質的に対応をせざるを得ない状態におかれていたりするような場合でも、労働時間規制に抵触する可能性はあると思います。

つまり、送られるメッセージの頻度が頻繁で対応も頻繁にしなければならず『常態としてほとんど労働する必要のない』といえない場合には、労働時間規制に抵触する可能性はあると思います。

さらに、過度の負担を強いて労働者の心身の健康を害した場合には、安全配慮義務違反で会社が労働者に損害賠償責任を負うことも考えられます」

●業務に無関係のメッセージを送ってきた場合は?

では、業務に関係しているとは言い難い「今日は寒いね?」「頑張ろう」「はしゃいでるね」などのメッセージを業務時間外に頻繁に送ってきて、返信をしないと「何で返信してくれなかったのか」と怒ることに問題はないのか。

「上司が勤務時間外に業務に上記のような関係のないメッセージを頻繁に送ってきた場合に、これに対応する必要はないのは当然で、返信しなかったことに対して怒るなどというのは明らかに筋違いです。

これは、一種のパワーハラスメントいえるでしょうし、男女間であれば、セクシャルハラスメントに該当する可能性もあります。こうしたことがあった場合には、早期に会社のしかるべき人間、部署に相談すべきだと思います」

【取材協力弁護士】
吉成 安友(よしなり・やすとも)弁護士
東京弁護士会会員。企業法務全般から、医療過誤、知財、離婚、相続、刑事弁護、消費者問題、交通事故、行政訴訟、労働問題等幅広く取り扱う。特に交渉、訴訟案件を得意とする。
事務所名:MYパートナーズ法律事務所
事務所URL:http://www.myp-lo.com/

弁護士ドットコムニュース編集部