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サーキットに住むアイドル猫たち 「桶川猫」はみんな迷い猫

sippo 5/6(土) 11:30配信

危険な場所には近づかない

 桶川猫は、埼玉県にある桶川スポーツランドというサーキットで飼われている猫たち。サーキットという緊張感あふれる場所で、のんびりとかわいさを振りまく桶川猫はTwitterで人気を集めた。そんな人気猫に会いに行ってきた。

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 荒川河川敷のホンダエアポートを脇に見ながら進んだ先にある桶川スポーツランドは、世界で活躍する多くのWGPライダーを輩出した名門サーキット。ちょっと厳(いか)つい男の世界が広がっていそうだが、事務所の中はロッカーの上に猫、奥の椅子の上に猫、棚の猫ベッドに猫という、ほんわかパラダイス。ここに住んいるのは、すべて迷い込んできて居ついた猫たち。

 サーキットという特殊な場所だが、しっかり教えられているのでコースやバイクに自分から近寄ることはせず、事務所や広々とした原っぱでノビノビと過ごしている。

それぞれ猫に性格

 最初に大歓迎してくれたのは「トムお」(2014年加入♂)。人間好きという評判通り、尻尾を立ててやってきて離れず、表にも付いてくる。休憩中のライダーから「トムおさん?」と声がかかると、今度はそちらに近寄ってなでてもらう。

 その後、猫たちがよく遊んでいるという原っぱに行くと、女性が振る枝に夢中でじゃれ
つく猫がいた。まだ若いその猫は、新人の「はてな」(2016年6月加入♀)。尻尾の先がくるりと巻いている形からその名が付いた。やんちゃ盛りのはてなだが、暴れていない時にはトムおにベッタリ。なんでもトムおがトイレまで献身的に世話して育て上げたそう。

 はてなを遊ばせていた宇都宮恭子さんは、「猫がいるサーキットに行く」という兄の言葉に思わず付いてきてしまったそう。「可愛がっていた猫を去年亡くしているので、猫が恋しくて。久しぶりに猫と遊びました。やっぱり可愛いですよね」ととろけそうな笑顔になった。

周囲の理解も得やすく

 猫がいることで、恋人や家族をサーキットに誘いやすくなったという声は、実際にライダーからよく聞かれるそうだ。バイクは危険が付き物と思われがちで、家族や恋人の理解を得られないことも多いという。でも、「猫がいるよ」と言えば誘いやすく、実際に見てもらえれば危険にあふれた公道と違い、サーキットが安全なことは伝わる。

 桶川猫はノビノビ元気に、ダラダラまったり過ごしているだけに見えるが、サーキットのイメージアップに貢献するという重大な使命も担っているのだ。

「胴が長く持ちやすい」と評判の「漆黒太郎」、6匹の子猫を産んだ母であり一番古株の「たまニャース」、マシュマロ系で砂袋のような抱き心地の「OLごご」も事務所でマイペースに過ごしていた。残念ながら通い猫の「うらおもてヤマネコ」には会えなかったが、ある日首輪に手紙を付けて現れて飼い主さんがいることが判明し、何度か猫経由の文通をしているとか。

 約3万人がフォローしているTwitterの人気アカウント「桶川猫」。実は一部の見学者による無断撮影などがあり、サーキット利用者に迷惑をかけてはと、今は休止している。

 サーキットは基本的に見学自由だが、大会やイベント時には混雑するため猫が隠れ家から出てこないこともある。桶川猫に会いたい場合は、ホームページでスケジュールをチェックしてイベントなどのない日に行くとよさそうだ。

(辰巳出版「猫びより」から/文・吉澤由美子 写真・じゃんぼよしだ)

sippo(朝日新聞社)

最終更新:5/6(土) 13:07

sippo