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不正、失速……韓国財閥経済は民主化するのか

5/6(土) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

「女ラスプーチン」と言われた崔順実(チェ・スンシル)被告から始まり、韓国政財界を巻き込み、ついには朴槿恵(パク・クネ)前大統領の起訴まで発展した大スキャンダル。サムスンやロッテという韓国経済の屋台骨である財閥のトップまで司直の手は伸びた。

5月9日には大統領選も控える中、果たしてスキャンダルは韓国経済にどのような影響を与えるのか。

朴前大統領の疑惑が表面化したのは昨年10月。大統領の演説草稿や閣議の発言などに関するファイルが民間人である崔被告に秘密裏に届けられ、朴前大統領はその指南を受けていたことが発覚した。崔被告は大統領府の政策調整首席秘書官と共謀し、全国経済人連合会(全経連、日本の経団連に当たる)主導で韓国ロッテグループやSK、ポスコなど62社から2つの財団に計約774億ウォン(約70億円)の寄付を強要した疑いが浮上。崔被告や秘書官は逮捕された。

12月6日、国会に韓国を代表する経済人がずらりと並んだ映像は衝撃だった。サムスングループの事実上のトップである李在鎔(イ・ジェヨン)副会長をはじめ、韓国ロッテの重光昭夫(辛東彬=シン・ドンビン)会長、通信大手SKの崔泰源(チェ・テウォン)会長、現代自動車の鄭夢九(チョン・モング)会長など8人が呼ばれた。 サムスンの李副会長は2財団に対する寄付について、「見返りを期待してのものではなかった。依頼は各方面から来る」と釈明したが、2月に逮捕、起訴された。続いてロッテの重光会長も4月、起訴された。

財閥トップの罪は穏便に済まされてきた

「韓国の財閥トップは罪を犯しても国の経済を支えているからということで、穏便に済まされてきた。仮に有罪判決を受けても恩赦されることが少なくない」(韓国の経済記者)

李副会長の父、李健煕(イ・ゴンヒ)会長は全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)両元大統領への贈賄事件で検察に召喚されたが、執行猶予で赦免。

ほかにも財閥第3位のSKグループ、崔泰源(チェ・テウォン)会長は背任・横領罪で懲役4年の判決を受け、財閥10位のハンファグループの金玄中(キム・ヒョンジュン)前副会長は背任・横領で懲役4年、同グループの洪銅玉(ホン・ドンオク)麗川NCC会長も懲役4年など有罪判決を下されているが、いずれも後に恩赦特赦を受けている。

サムスンの李副会長もソウル地裁は当初、証拠不足などを理由に逮捕状の請求を棄却した。ところが状況が一変したのは、その後の世論によってだ。

韓国国内から朴前大統領に対する不満が噴出し、ソウル大学の教授やソウル弁護士会の会長までがソウル裁判所の前で座り込みで抗議。「ロウソクデモ」に参加した市民は32万人にものぼる。市民の間にもともとあった、財閥一族との格差や不平等感への怒りが膨らんで行った。

市民の怒りを感じ取った検察はようやく動きだし、特別検察官は、朴商鎮(パク・サンジン)サムスン電子社長がドイツで崔氏に会った後に作成したメモを発見。証拠隠滅の疑いがあるとして、ソウル地方裁判所も逮捕状を受理した。

「財閥トップの犯罪は政経癒着の構図の中で、これまでは寛大な処置がとられてきたが、今回は世論の風当たりが強く、執行猶予や恩赦はしにくいのではないか」(検察の事情に詳しい韓国の弁護士)

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