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ムッシュムネマサに感謝 フランス情熱の男たちサニックスWユース涙の優勝!

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン) 5/6(土) 9:52配信

 豊かな緑に囲まれた福岡県宗像市にあるグローバルアリーナで、スコットランドの伝統的な楽器であるバグパイプの音色がひとときの安らぎをもたらしたりもして、「サニックス ワールドラグビーユース交流大会」が今年も無事に開催された(4月28日~5月5日)。
 株式会社サニックスの創業者である故宗政伸一氏が、「世界中の高校生たちが集い、技術を高めながら思いやり、関わる誰もが成長する機会を創りたい。直に世界と触れ合える機会を創りたい」と夢を描き、2000年に始まったこの大会。高校の単独校が集まって一か所で開催する国際大会は世界でも珍しく、サニックスワールドユースを目標に掲げるチームは少なくない。

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 第18回大会となった今年、ファイナルの舞台に立ったのはフランスの高校(リセ ボルデバッス)とニュージーランドの高校(マウントアルバート グラマースクール)だった。どちらも昨年の国内チャンピオン。決勝前の国歌斉唱は未来のワールドカップを想い浮かべるほどパッションに満ちていた。
 宗政伸一氏はランニングラグビーが大好きだった。しかし、フランスとニュージーランドの若きラガーマンたちによる激闘は、互いにトライを許さぬ肉弾戦となる。それでもきっと、ラグビーを愛した故人がもしその試合を観ていたら、表彰式では「よくがんばったね」と優しく笑って両チームの選手にメダルをかけたに違いない。

 6点を追うニュージーランドが終盤、逆転を目指してゴール前で猛攻撃を続けた。耐えるフランスは、反則の繰り返しなどで2人にイエローカードが出され、13人となる。全力の限りをつくした両校の選手たち。結局、トライは生まれず、9-3でノーサイドの笛。フランスの選手たちは喜びを爆発させて抱き合い、コーチたちもグラウンドに崩れて涙を流した。

「とても厳しい試合でした。ボールを何回も失って、ずっとディフェンスばかりやっていた。でも、選手たちが本当によくがんばってくれました。1月3日にこの大会に参加することを決めて、みんなでがんばってきました。家族たちの応援もあって、遠くまで来て、このすばらしい大会で優勝できた。そんなすべてのことを思い出して、感動したんです」
 リセ ボルデバッスのエリック・シャラベル ヘッドコーチが喜びを語った。
「今日は人生のなかでとてもいい日になりました。優勝したのが夢みたい」

 実は、リセ ボルデバッスのジャージーの後ろ襟部分には、『宗政伸一ありがとう』の文字がプリントされていた。
「感謝を伝えるために、特別にジャージーをつくったんです。心より感謝しています」
 アレクサンドル・ルージェ主将がそう言って、日本語で書かれたメッセージを見せてくれた。ヘッドコーチらの発案で、大会本部に許可をもらってジャージーにその言葉を入れたという。指揮官には熱い思いがあった。
「ムッシュムネマサのおかげでこのすばらしい大会ができた。感謝を伝えるために、ジャージーの大事なところに入れたかったんです」

 フランスの情熱的な男たちは、ニュージーランドや南アフリカの強豪も倒しての全勝優勝。
「トウカイサガミ(東海大相模)、フクオカ(東福岡)、カナガワトーイン(桐蔭学園)、どのチームにも驚きました。日本人の選手は速くて、筋肉もついてて、技術も良くて…、日本チームとやるのは難しかったです」
 シャラベル ヘッドコーチは大会をそう振り返り、自分のチームの選手にはこんな思いを抱いている。
「選手たちには、いい人間になってほしいです。フランスでプロラグビー選手になるのはとても難しい。ほとんどはプロになれないかもしれない。もしプロになっても、この日のことを忘れないでほしい」

 若人たちは大きく成長していく。

 故宗政伸一氏はこの大会で「交流」を大切にした。
 約1週間、高校生たちは緑の芝の上で身体をぶつけ合い、陽が沈んだあとは慣れない外国語を使ったりして語り合い、友情を育み、思い出を作っただろう。
 すばらしい決勝のあと、リセ ボルデバッスの選手たちを祝福しようと、13・14位決定戦を終えて観戦していたイングランド(ヘンリー カレッジ)の心優しき男たちが「アレーレブルー!」「アレーレブルー!」と連呼し、駆け寄ってきたフランスの選手たちと握手を交わした。そして敗れたニュージーランドの選手が最後、上半身裸になって「ハカ」を踊ると、フランス人もイングランド人も日本人も、スタジアムに残っていたすべての人たちが静かに見届け、温かい拍手を送った。

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最終更新:5/6(土) 9:52

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)