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細菌が作る酸化鉄 性質変える手法 岡山大考案、赤色顔料や触媒に

5/6(土) 23:43配信

山陽新聞デジタル

 岡山大大学院の高田潤特任教授(材料化学)、押木俊之講師(触媒化学)らの研究グループは、溝などの水中に見られる赤茶色の“さび”の性質を人工的に変化させることに成功し、赤色顔料や化学品合成の触媒として活用できることを確認した。さびの正体は、細菌が生み出す酸化鉄で、微生物由来のエコで低コストな工業用材料として普及が期待される。

 高田特任教授らは地下水などに溶けている鉄分を酸化することで生命活動を維持している細菌に着目した研究を続けている。これまでに、細菌が自然界で作るチューブ状の酸化鉄は鉄、ケイ素、リンの3元素が含まれ、リチウムイオン電池や細胞培養の材料になることを見いだしていた。

 さらなる用途拡大を目指し、含まれる元素の比率や種類を人為的に調整できる技術の開発に着手。チューブ状の酸化鉄は、(1)細菌から分泌された「多糖」が周りにさやを形成(2)さやに酸化鉄が沈着―という流れで作られることを突き止めた上、人工培養した細菌に多糖のさやを作らせ、従来はない元素を含む溶液に入れて元素を沈着させる手法を考案した。

 この手法により、金属元素のアルミニウムを含むタイプと、同ルテニウムを含む型の2種類のチューブ状酸化鉄の製造に成功。前者は耐熱性に優れ、陶磁器などの使い道が見込まれる鮮やかな赤色顔料になり、後者は従来品と同等以上の働きを持つ化学品合成用の触媒として使えることが分かった。

 いずれの酸化鉄も天然の成分に由来し常温で生み出せるため、熱を使って化学合成するこれまでの工業用材料より環境への負荷やコストが抑えられるという。

 高田特任教授は「用途に応じて、さまざまな元素を含む新たな工業用材料を作り出せる可能性がある。企業との共同研究など取り組みを加速させたい」と話している。