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美ら海水族館の誤情報とデマを流してはいけない理由 モバプリの知っ得![4]

琉球新報 5/7(日) 11:30配信

ネットで広がったマグロに関する怪しい情報
 4月下旬、FacebookとTwitterでとある動画が話題になりました。

 美ら海水族館のマグロが猛スピードで水槽に激突し、そのまま動かなくなるショッキングな動画です。

 

 Facebookでは9ポストというサイトが『水族館でフラッシュ撮影をしてはいけない理由。。驚いたマグロが水槽に激突』というタイトルで拡散。

 またこの記事を見たのか定かではありませんが、ある方がTwitterで

「美ら海水族館でフラッシュに反応したマグロが水槽に思いっきり衝突してきて死んじゃった
皆フラッシュやめようね」

のコメントとともに、動画を貼り付けて拡散しました。

 

 「撮影した人許せない」「マナー悪すぎ」などの怒りのコメントとともに、Facebookでは660シェア(転送)・2800以上のリアクション。Twitterでは4万件を超えるリツィート(転送)で広がり、のべ100万人近くの人に動画が広がったと予想されます。

 

美ら海水族館担当者「マグロはフラッシュぐらいの光では驚かない」
 しかしながら、5月1日の夜にネットメディア「ねとらぼ」の記事により自体は急展開を迎えます。

記事:「フラッシュ撮影のせいでマグロが死んだ」誤情報拡散 美ら海水族館は「フラッシュ影響しない」―ねとらぼ

“―― 「フラッシュのせいで――」というツイートが拡散されているのですが、マグロがフラッシュに驚いて水槽に衝突することはあるのでしょうか?
担当者 マグロはフラッシュぐらいの光では驚きません。そのためお客さまの撮影に対しても、そういった禁止事項は設けておりません。”

 美ら海水族館の担当者はねとらぼの取材に、マグロが激突したことは事実としながらも原因は不明で、例外はあるが館内でのフラッシュ撮影は可能と答えています。

 結果として「フラッシュに反応してマグロが水槽に衝突した」は事実に基づかない情報、さらにはコメント欄で多く見られた「フラッシュ撮影者のマナー違反」は明確に誤った認識ということなります。

 今回の件を踏まえ、「マナー違反でないとはいえ、必要以上にフラッシュを使うべきではない」と考える人もいるでしょう。

 しかしながら誤情報を多くの人が信じることで、美ら海水族館でフラッシュ撮影を行なった人が「マナー違反」として糾弾され、施設内でトラブルになることも想定されます。

 配慮や、善意をもとにした誤情報ならOK。と短絡的には思えても、間違った情報が広がる過程で思いがけないトラブルや問題を生み出す可能性があることを意識しないといけません。

 

デマの広がりと訂正の広がりの差
「ねとらぼ」の訂正記事を追うように、NHKも検証記事を載せています。

記事:ネットで熱い議論 水族館でのフラッシュ あり?なし? | NHKニュース

 今回の情報はFacebook・Twitterで爆発的に拡散されました。

 ねとらぼとNHKの記事が出て、Facebookの記事は若干の修正、Twitterでの投稿は削除されました。

 しかし、気になるのは元となった誤情報の投稿と訂正記事の閲覧数の差です。

 Twitterでの広がりを見ると、
 誤った情報の投稿は削除前に40000件以上のリツイート。
 情報を訂正するねとらぼの記事は5900件のリツイート(5月6日 12時現在)


 Twitterのリツイート数だけで単純に比較することはできませんが、リツイート数が文字どおり「ケタ違い」となっているため、正しい情報が書かれた訂正記事を見ていない人も多くいることが推測されます。

 「間違った情報を広げたことが恥ずかしくて訂正は出さない」という人もいるでしょうし、「間違いでも注意するに越したことはないから訂正は広げなくていいか」という人もいるでしょう。

 しかし、本当にそうでしょうか。

 

誤った情報が人を殺す可能性
 この連載の3回目で、昨年末に発生した「美浜でテロが起こる」という誤った情報の拡散例を紹介しました。

記事:ネットで広がるデマ情報 方程式と3つの対策 モバプリの知っ得![1] - 琉球新報Style

 その時の投稿には、「この人がテロを起こす」という趣旨で、沖縄に住む外国人の写真が根拠もなく貼られていました。

 情報を拡散したほとんどの人は「みんなに注意喚起をしないといけない!」という善意で広げたと思います。しかしながら、誤った情報に写真が添付された外国人男性は、何の根拠もないままネット上でテロリストとして「認定」されました。

 考えてみてください。社会の風潮によっては、このデマ情報が引き金となって「テロリストを懲らしめないと!」と正義感から行動する自警団が男性を襲う可能性も否定できません。デマは冤罪を生み、人を危険にさらす可能性があることを強く意識する必要があります。

 そして誤情報・デマが伝わる範囲に対して、訂正する情報は広がりにくいのです。一度、レッテルを貼られたら、それが間違いだったとしてもイメージを払拭すること、情報をなかったことにするのは困難です。

 誤情報・デマは災害などの緊急時も広がりやすくなります。実際、東日本大震災(2011年)・熊本地震(2016年)の時にも数え切れないほどの誤情報が広がりました。誤情報・デマのせいで、救援物資が適切に運ばれない、救急部隊の動きが遅くなるなど人命に関わる可能性も十分考えられます。

 普段からデマを見抜けないのであれば、緊急時にデマを見抜けられるはずがありません。

 大切な人、そして自分自身を守るためにも、情報を見極める力がこれからの時代は試されると言えるでしょう。

 

情報は「シェアする前」の一呼吸が大事
 では、どうすればいいのでしょうか?

 現在のところ、デマや誤った情報は広く拡散されるのですが、訂正の情報や正しい情報は広がらない場合が多くなっていると説明しました。そのため個々人でできる対策としては情報をシェアする前に、一呼吸置いて考えましょう、

誤情報、デマに惑わされないように注意する
誤情報、デマの訂正を見かけたら、知らせてあげる

この2つが大事ですね。

今後も誤情報・デマの実例などを取り上げて解説していきますので、皆様も注意深く情報に触れて見てくださいね。

 


 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」5月7日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。



【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/

 


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琉球新報社

最終更新:5/7(日) 11:30

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