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元ロッテ渡辺俊介氏 社会人野球2年目の挑戦

5/7(日) 11:00配信

デイリースポーツ

 深度が増せば苦悩も、そして喜びも大きくなる。4月24日、社会人・新日鉄住金かずさマジックがJABA長野大会で優勝し、昨年は逃した日本選手権出場が決定。古巣への復帰2年目を迎える元ロッテ・渡辺俊介投手兼任コーチ(40)は「本当にホッとしました」と安どの表情を見せた。

【写真】社会人野球のマウンドでサブマリンが躍動

 大きな成果は投手・渡辺俊介の登板機会が無く勝ち抜けたことか。昨年は都市対抗と日本選手権の予選など、重要な局面では必ず渡辺が救援のマウンドに上がっていたからだ。

 2大大会の出場が最大の目標となる社会人野球。自身が投球でけん引することも役割の1つ。それでも「俺が大事な場面で投げているようでは本当の意味で成長とは言えない」と渡辺。復帰2年目の今年、もう1つの役割である投手コーチとして、投手陣の成長に大きな期待を懸けた。

 長野大会でも準決勝・決勝でブルペン待機。だがチームは新人で抑えに定着した西村、ベテラン・山川らが救援として奮起し、渡辺の出番を仰がずに優勝を決めた。それだけに喜びもひとしおだ。

 ただ「本当にうれしかった」と話す一方で、投手陣への手応えに関しては「まだまだです」と評した。結果は残すも決して順風満帆ではなかったためだ。期待が大きかった2年目・新ヶ江と4年目・比嘉、山田が不調。長野大会で最優秀選手に輝いた新人・松尾が先発、救援にフル回転の活躍は光ったが、薄氷を踏む優勝だった。

 選手が不調に悩めば、同様に渡辺も苦しみを共有する。その“強度”は「去年とは全く違います」という。

 「去年は投手の能力を把握した時点で大会が始まった。何かあれば自分が投げればいいという思いもありました。今年は選手の課題も知り、取り組んできたこともある。悩んでいる姿も見てきた。何とかしてやりたい気持ちも強いですし、コーチとしての責任が増していますからね」

 コーチ業については「やればやるほど分からない」と話す。選手に寄り添えばこそ苦しみはある。長野大会の予選リーグで投手陣が打ち込まれた時は「ベンチで気持ちが悪くなった。そんなことは初めてですよ」と苦笑いを浮かべた。それでも選手は、少しずつ期待に応えてくれるもの。

 日本選手権を決めた直後に行われた4月27日の関東選抜リーグ戦。強豪セガサミー戦で先発・新ヶ江、2番手・比嘉、そして最後は山田が締めて見事な完封リレーを演じた。

 これには渡辺も「期待通りに投げてくれましたね。彼らは(長野大会で)力を出し切れなかった。それぞれに感じるものがあったと思う」と目を細めた。

 今月からは夏の都市対抗に向けた予選が始まる。前述の3投手に加えて新人の松尾、西村。さらに中堅・ベテランの山川、本多、橘らが機能すれば投手陣は昨年以上の仕上がりとなり、2年連続の本戦進出も見えてくる。

 そして不惑のサブマリン・渡辺俊介。都市対抗予選へも登板準備はするだろうが、理想は若い力が自身の力を必要とせず本戦進出を決めることだろう。「今年は(気持ちが)全然違いますよ。喜びもしんどさも重いですから」。そう話す顔に、充足感が漂っていた。(デイリースポーツ・中田康博)