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エース野口啓代、残り1秒完登「クライミングやっていてよかった」

スポーツ報知 5/8(月) 6:03配信

◆スポーツクライミング ボルダリングW杯第4戦最終日(7日、東京・エスフォルタアリーナ八王子)

 女子は過去4度W杯総合優勝の日本のエース、野口啓代(あきよ、27)=茨城県連盟=が残り1秒で奇跡のクリアを果たすなど、4課題を全完登。完登に要したトライ数の差で2位に敗れはしたが、東京五輪新種目正式決定後、国内最初のW杯で2340人の観客を沸かせた。野中生萌(みほう、19)=東京都連盟=は3位。男子は世界選手権金メダルで昨季総合王者の楢崎智亜(ともあ、20)=栃木県連盟=が2位、2週連続優勝を狙った渡部桂太(23)=三重県連盟=は3位だった。

 タイマーの表示が20秒を切った。第3課題のラストトライ。野口は全身に力を込めて飛びついた。初めて両手でホールド(突起物)をキャッチ。あとはゴールをめがけて駆け登るだけだった。「覚えていない。最高でした。クライミングやっていてよかった」。劇的な残り1秒での完登。到達点にぶら下がり、目にした眺めは絶景だった。観客2340人の笑顔だった。

 昨年8月に東京五輪新種目に正式決定後、国内で最初のW杯。注目度が違った。収容人数は昨年の加須(かぞ)大会(埼玉)の3倍の2500人。予選から2000人が来場し、この日の入場券は大会前から完売だった。日本の第一人者として世界へ出てから10年近くがたつ。今大会に懸ける思いは特別だった。「大満足の2位とは言えないけど、大満足のクライミングでした」。自らの登りで、ボルダリングの魅力を伝えた。

 昨年の加須大会は決勝進出を逃す惨敗だった。プレッシャーに潰れた自分が許せなかった。「1年越しにリベンジできた。メンタルが強くなった」。準備に費やす時間を増やした。トレーニングの量を増やし、大会前はイメージトレーニング。「不安がなくなった。自信を持って臨めるようになった」。自国開催の重圧に負けない精神力は、3年後をも見据えている。

 クライミングをこよなく愛する。W杯で世界を転戦する日々。特別持参するものはない。「クライミング道具があれば大丈夫です」とニコリと笑う。次戦の米国大会(6月10~11日)まで1か月。気分転換をするために向かう先は岩場。「結果が関係ない、楽しいクライミングをしてリフレッシュしたい」。寝ても覚めてもクライミングだ。

 完登に要したトライ数の差でヤンヤ・ガルンブレト(スロベニア)に敗れた。東京五輪ではボルダリング、リード、スピード3種目の総合成績で争われる。今季2勝目を挙げた18歳は東京五輪でもライバルとなりそうだ。成長を続ける27歳は「優勝したいです」と言い切った。3年後の金メダルへ、どんな壁でも乗り越えていく。(高木 恵)

最終更新:5/9(火) 19:40

スポーツ報知