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こま犬の名工 寅吉に光 浅川町民有志が顕彰会

福島民報 5/7(日) 9:13配信

 福島県の浅川町民有志は明治時代に町内を拠点に技巧を凝らしたこま犬などを制作した石工・小松寅吉に光を当てる活動を始めた。こま犬彫刻を芸術の域まで高めた名工を顕彰する「あさかわ寅吉会」を設立した。町内の寺社仏閣などを調査し、全国のファンを魅了した寅吉の埋もれた作品を探す。平成30年夏にもシンポジウムを開催し、浅川を全国に発信する。
 寅吉のこま犬は雲に乗って空を飛ぶ「飛翔獅子」のスタイルで、一般的な、座っている形とは異なる。一つの巨大な石から躍動感あふれる獅子を細かに彫り出して雲の装飾を施すなど、高い技術が駆使されている。
 福島市出身のこま犬研究家で作家のたくきよしみつさんが著作で紹介し、観光ツアーが企画されるなど全国のファンから根強い人気を誇っている。
 相田道代会長(59)ら町内の会社経営者ら有志7人が寅吉にスポットを当てて、地域活性化につなげようと会を結成した。
 現在、寅吉作とされる作品は県南地方を中心に石像や灯籠、墓石など40数体が確認され、栃木県や京都市にも残されている。こま犬は白河市や中島村などに7体あることが分かっているが、浅川町では見つかっていない。会員は町内の寺社仏閣を巡って調査し、作品を探している。
 寅吉は、作品の出来栄えが気に入らないと制作をやめ、土に埋めたといわれる。制作拠点だった福貴作(ふきざく)地区の集会所敷地内には十数年前に地区民が掘り出した未完成の仁王像が展示されている。他にも埋められている作品があるとみられ、関係者から聞き取り調査をする。
 発掘された仁王像の写真を使ったポスターを夏ごろまでに制作し、町内外に配布する。30年夏ごろに専門家らを招いたシンポジウムを開き、作品の魅力や寅吉の生涯を広く知ってもらう。現在は有志が資金を出し合いながら活動しているが、今後は企業の協賛を募り、町や県などの補助金活用の方法も探ることにしている。
 寅吉や弟子の小林和平のこま犬を研究している石川町の郷土史家吉田利昭さん(81)は「寅吉の石造物は精巧で芸術性が高い」と評価する。相田会長は「子どもたちにも地域の名工を知ってほしい。芸術教育にもつながれば」と期待を込めた。

福島民報社

最終更新:5/7(日) 10:44

福島民報