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道路劣化診断ソフト開発 三島のtoor 来年度販売目指す

5/7(日) 11:08配信

福島民報

 福島県三島町の情報サービス業「toor(トア)」は自社製のビッグデータ解析ソフトと市販のドライブレコーダーを組み合わせた道路劣化診断システムを開発した。道路を走行すると、劣化の度合いが地図上に色分けされる。ひび割れなどの傷みを早期に発見し補修すれば、維持コストの削減や長寿命化が期待できる。地元の宮下地区建設業協同組合、大手メーカーと共同で、平成30年度の商品販売を目指す。
 システムは、車が傷んだ道路を走行する際、市販のドライブレコーダーに組み込まれた振動センサーが大きく反応することに着目。走行データをビッグデータ解析ソフト「toorPIA(トピア)」で分析した上で、映像記録や衛星利用測位システム(GPS)と組み合わせ、道路がどれくらい劣化しているか地図上に色分けして表示する。走行データは6・4秒間隔で取得するため、路面の状態をきめ細かく把握できる。
 導入するには、道路パトロール車に装着する5万~10万円のドライブレコーダーを購入するだけで済む。通常のパトロール業務の中で自動的にサーバーに蓄積された膨大な振動データを周波数に変換し、トアのビッグデータ解析ソフトに入力するだけで振動幅に応じて瞬時に散布図に表せる。専門技術が不要で新たな作業負担も生じないのが魅力だ。データを蓄積すればするほど、より正確な診断ができるようになる。
 同社は平成27年度に県宮下土木事務所と共同で、三島町などを通る252号国道で実証実験を行った。県道路管理課が同時期に同じ路線で実施した専用車による路面性状調査で測定した舗装の維持管理指数(MCI)と比較した。県宮下土木事務所は「現行の指標であるMCIのデータと相関性がみられることからシステムの有効性が確認できた。迅速に最新のデータが得られる」と評価している。

■維持コスト削減に期待

 専用車による道路診断は路線によって五年に一度しか行われず、従来の道路の修繕は損傷が大きくなってから対処する「後追い型」だ。早期診断により損傷の程度が比較的小さいうちに補修する「予防型」の道路管理が可能となり、維持コストの削減が期待できる。道路診断に高度な技術は必要なく、道路管理業務を地元企業や団体に委託することもできるようになるという。
 今年度は宮下地区建設業協同組合の車両にドライブレコーダーを搭載。管内の252号国道や400号国道など奥会津に範囲を広げてデータを収集し、診断精度のさらなる向上を目指す。また、大手の情報通信会社やドライブレコーダーのメーカーと協力し、走行データを手元で把握できるタブレット端末用アプリを開発し、30年度の商品化につなげる予定だ。
 高枝佳男社長(50)は「診断の技術は鉄道などにも応用できる。民間の力を活用した道路劣化診断の『福島モデル』を確立し、他の都道府県や世界に技術を広めたい」と話している。

■震災復興に協力 三島に本社移す

 toorは平成24年に設立した。自社で開発したビッグデータ解析ソフト「toorPIA」の販売を手掛けている。大阪市出身の高枝社長が25年4月に三島町の団体が築100年以上の古民家再生プロジェクトの入居者を募集していることを知り、「ビジネスを通じ福島の震災復興や地域創生に協力したい」と同年6月に三島町早戸に移住した。同時に本社登記も東京から移した。これまでに会津大や東北大、山形大などと共同研究に取り組んでいる。

福島民報社

最終更新:5/7(日) 11:10
福島民報