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営業車の運転がぎこちなくて入社「3週間」でクビ、「試用期間中」の解雇はアリなの?

5/7(日) 8:33配信

弁護士ドットコム

この春に就職したばかりの新入社員が街なかを歩く姿にも、そろそろ見慣れてくるころだ。正社員として入社している場合、ほとんどの人は試用期間中だろう。一般的には「3カ月」といわれているが、この間に、仕事への適性や能力を判断されることになる。

弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、「試用期間」に関する相談が寄せられている。ある相談者の男性は、入社してからたった3週間で「営業職として適性がない」として、会社から解雇を言い渡されたそうだ。

●「運転技術や性格が営業職に向いていないとして解雇された」

このケースでは、相談者が営業車(MT車)に乗った際、クラッチ操作などがぎこちなかったため、上司から「業務に支障が出るのでまずい」と言われたという。そこで、相談者は自腹で教習所に通い、指導員から「慣れてない部分があるが大丈夫」と及第点をもらった。

ところが、上司を助手席に乗せての最終チェックで、それでも「無理だ」と判断されてしまった。男性は上司に「具体的にどこがまずいのか」を尋ねたが、終始あいまいな答えしか返ってこなかったという。その後、男性は、運転技術や性格が営業職に向いていないことを理由に解雇されてしまった。

今回のように、納得のいかないあいまいな理由で、試用期間中に解雇された場合、不当解雇にあたるのだろうか。若月彰弁護士に聞いた。

●「適性の有無は、試用期間中の全期間を見たうえで判断されるべき」

「『試用期間』の『試用』という言葉から、洋服の試着を連想されるかもしれません。試着した洋服が気に入らなければ買わなければいいので、それと同じに「試しに雇っている」だけだからいつでもクビにできるという連想です。 しかし、試着した洋服はまだ買っていない、つまり売買契約を締結していない状態ですが、試用期間はすでに人を雇っている状態です(雇用契約は締結している)。

もっとも、試用期間の場合、労働者の適性を見極めるための期間ですので、通常の解雇よりも、やや広い範囲で解雇は認められます。それでも客観的に合理的な理由は必要となります。

そうすると、今回の相談者の場合、『運転技術が劣る』と評価されているようですが、どの程度劣るのかという事実が客観的に示されていませんし、教習所の指導員から『大丈夫』と言われている以上、合理的な理由ではないと思われます。また、性格が営業職に向かないという理由に客観性も合理性もないことは明らかです。

さらに、相談者は、試用期間中に解雇されていますが、労働者の適性の有無は、試用期間中の全期間を見たうえで判断されるべきですから、この点だけとっても、客観的に合理的な理由もなければ、社会通念上相当でもなく解雇は無効といえます。

このような不当に思える解雇をされた場合、会社がどのような理由で解雇したのかを早いうちに明らかにしておくと、後々の裁判手続きで『解雇無効』を主張するのに有利に働きます。解雇理由を明らかにした退職(解雇)理由証明書を会社に請求しておくとよいでしょう」

【取材協力弁護士】
若月 彰(わかつき・あきら)弁護士
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。大学卒業後一般企業に就職。在職中に社会保険労務士試験に合格したのをきっかけに司法試験を目指す。旧司法試験に合格。司法修習を終了後、法律事務所テオリアに入所。着手金無料の完全成功報酬で残業代請求など多くの労働問題を手がける。野鳥観察とスカッシュが趣味。
事務所名:法律事務所テオリア
事務所URL:http://zangyo-bengo.jp

弁護士ドットコムニュース編集部

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