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赤字でも株価上昇する米テスラ、急成長の背景に「ESG投資」

5/7(日) 9:23配信

日刊工業新聞電子版

世界の投資残高21兆ドル、長期的成長を基準に

 企業に環境や社会の課題解決を求める新しい投資基準「ESG」(環境・社会・企業統治)に基づいた投資が増えている。長期的視点の成長力を評価する同基準は2015年に世界最大級の機関投資家である日本の年金積立金管理運用独立法人(GPIF)も重視を表明している。短期の利益にとらわれないESG投資は、ベンチャー企業の育成にとっても有効だ。


 株式の時価総額で米自動車業界のトップに立った電気自動車(EV)メーカーの米テスラ。同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は宇宙ロケット開発のスペースX、太陽光発電事業のソーラーシティも手がける。傍目には荒唐無稽な目標を掲げながら技術革新を起こしている。

米テスラ、社会の要請にかなった経営

 天才起業家と評価されるが、何度も挫折を経験してきた。03年に設立したテスラもEVの生産が思うようにいかず、注文の台数を出荷できない時期が長かった。それでも投資家の期待を集め、同社は毎年、投資家から資金調達。10年の上場後も赤字続きだが、株価の上昇が止まらない。

 こうした背景にあるのが、投資の新しい潮流であるESG投資。環境や社会課題を解決する力があり、不正を犯さない企業を選ぶ投資だ。世界のESG投資残高は21兆ドル(2100兆円)で、9割を欧米が占める。マスクCEOが手がけるEVや太陽光発電は、環境や社会課題を解決する。火星移住計画は長期戦略であり、地球に帰還したロケットを再利用する技術革新を生んだ。ベンチャー企業だが、ESGの視点では社会の要請にかなった経営ということになる。

日本のGPIFも重視を表明

 投資家には08年のリーマン・ショックによる経済危機において、短期間に高い配当をする企業に資金を注ぎ込んだが、その企業が破綻して損害を受けた事例が少なくない。そこで長期的に成長する企業を選ぼうとESGが投資基準として注目され、GPIFも同基準を重視するようになった。

 ベンチャー企業も長期視点の評価なら目の前の業績に振り回されず、技術開発に打ち込める。企業に長期の成長戦略を描くように働きかける投資家が増えていきそうだ。

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