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北海道奥尻町 副町長の妻が町職員、町長が退職働きかけ 公務員の共働き賛否二分

北海道新聞 5/7(日) 11:01配信

退職願提出後、町議会は副町長の再任同意

 北海道奥尻町の町長が町議会から再任の同意を得るため、副町長に対して町職員の妻に退職を促すよう働きかけたことを受け、「公務員の共働き」を巡る問題が注目を集めている。町長の判断に町民からは賛否両方の意見が上がり、専門家は「働く権利の侵害」と指摘する。法律は男女平等雇用を定めているが、果たして公務員の実態は―。

 「一般的には『何を言っているんだ』と言われると思うが、副町長の選任案を提出する以上は、議会の同意を得たかった。そのための努力の一つという認識だった」。奥尻町の新村卓実(しんむらたかみ)町長は語る。

 町長は田中副町長に「特別職としてけじめをつけた方がいい」と、妻の退職を促した。妻は4月上旬に退職願を提出。田中氏の再任案は4月27日の臨時町議会に提出され、議会は全会一致で同意した。妻は9月末で退職するという。

道内の他の自治体でも

 町内の70代の男性漁業者は「共働きは当然の権利だと分かっているが、若い人の雇用の場は少ない。副町長の妻が退職して道を譲ってもいいのでは」と話す。

 函館市のある市職員(59)は「十数年前までは、夫婦とも市職員の場合、夫が部長級以上に昇進すれば妻が退職する不文律があった」と明かす。空知管内新十津川町では、町職員同士で結婚した複数の女性が、上司に退職を促されて役場を辞めた。町は「退職を求めたことはない」とするが、北海道新聞の取材によると、昨年6月までの過去30年で少なくとも20組が職場結婚し、いずれも妻が退職している。

 労働問題に詳しい道教大札幌校の菅野淑子教授(52)は「働く権利は、国民一人一人に憲法で保障されている。合理的な根拠に欠ける理由で退職勧奨が行われているとすれば、違法と評価される可能性がある」と指摘する。

北海道新聞社

最終更新:5/7(日) 16:47

北海道新聞