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データで見る菊池雄星の進化…今季飛躍的に改善された3つのスタッツとは

Full-Count 5/7(日) 9:20配信

理想は1イニング15球、最大の課題は「無駄球の多さ」だったが…

 西武の菊池雄星は5日、首位楽天戦で7回1失点の好投を見せ、3勝目を挙げた。防御率1.23はリーグ1位、6度の登板は1完封を含みすべてがHQS(ハイクオリティスタート・7回以上投げて自責点2以下)という抜群の成績だ。

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 菊池雄星は、花巻東高校から2009年ドラフト1位で西武ライオンズに入団。2年目の2011年から1軍のマウンドに上がり、先発投手として活躍してきた。しかし、菊池は早くからエース左腕の期待をかけられながら、今一つ伸び悩んでいる印象があった。最近は、高校で3学年下の大谷翔平の躍進の前に、菊池はやや霞んでいるようにさえ見えた。

 昨年までの菊池の最大の問題は「無駄球の多さ」だった。100イニング以上を投げるようになった2013年以降の1イニング当たりの投球数を見ていこう。

2013年 17.38 (108回 1877球)
2014年 17.66 (139.2回 2467球)
2015年 17.29 (133回 2300球)
2016年 16.83 (143回 2406球)
2017年 15.70 (44回 691球)

 一般に、投手コーチは、先発投手は1回当たり15球、6回で90球という計算を立てる。今年の菊池が記録している1イニングあたり15.70球という数字は、取り立てて優秀と言うほどではない。チームメイトのウルフは13.35球(31回414球)という効率的な投球をしている。

 しかし、菊池にとって、これは長足の進歩だ。2014、2015年と2300球以上も投げながら、菊池は規定投球回数に達することができなかった。2015年以降は15球ペースなら2145球で規定投球回の143回に達する。昨年は、最後の登板で何とか規定投球回数に滑り込んだ。投球効率が悪いために、長いイニングを投げられなかったのが、菊池の最大の課題だったのだ。

K/BBは飛躍的に改善、立ち上がりのもたつきも消える

 投球効率改善の最大の要因は、制球力だ。昨年までは四球が多かったために、投球数が嵩んでいた。2013年以後の奪三振数を与四球数で割ったK/BBの比率を見ていこう。

2013年 2.09(奪三振92 与四球44)
2014年 1.42(奪三振111 与四球78)
2015年 2.22(奪三振122 与四球55)
2016年 1.90(奪三振127 与四球67)
2017年 3.62(奪三振47 与四球13)

 2016年までの菊池は三振を2つ奪う間に1人を歩かせる投手だった。2016年のパ・リーグ全体のK/BBは、2.14だから、菊池の制球力は平均以下だった。しかし、今年は三振4つ弱を奪う間に1人を歩かせるレベルに進化した。

 さらに、菊池は最大のウィークポイントだった「立ち上がり」を克服した。2013年以後の先発登板での初回の失点と失点率を見てみよう。

2013年 2.65(17登板 失点5)
2014年 3.91(23登板 失点10)
2015年 4.71(21登板 失点11)
2016年 1.64(22登板 失点4)
2017年 0.00(6登板 失点0)

 もともと菊池は左投手ながら右打者を全く苦手としないという長所があった。今季の対右打者被打率は.117と圧倒している。また100球を超えても球威が落ちないスタミナもある。この恵まれた資質に「無駄球」が減り、「制球力」がつき、「立ち上がり」も克服できれば、鬼に金棒である。

 昨年、菊池は結婚するとともにMLBへの挑戦を口にした。MLBでは先発投手の指標としてK/BBを重要視している。また投球効率の良さも不可欠だ。

 こういう形で進化すれば、MLB挑戦も夢ではなくなってくるだろう。今季、最終的にどんな成績を上げるのか、大いに期待したい。

広尾晃●文 text by Koh Hiroo

最終更新:5/7(日) 9:20

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