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ANA、国際線はリゾート強化 17-20年度中期計画、ピーチとバニラ連携に懸念も

Aviation Wire 5/8(月) 6:09配信

 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、2016-2020年度中期経営計画の2017年度ローリング版を4月28日に発表した。2020年度の売上高は2兆1600億円、営業利益は2000億円、営業利益率は9.3%を目標に掲げ、国際線の収入は2015年度比40%増の7200億円規模、LCC事業は9.6倍の2000億円規模を目指す。

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 ANAHDは2月24日、当時持分法適用会社だったLCCのピーチ・アビエーション(APJ/MM)を連結子会社化すると発表。出資比率を38.7%を67.0%に引き上げ、4月に子会社化した。旧エアアジア・ジャパンを前身とする100%子会社のバニラエア(VNL/JW)と合わせ、グループ内に2社のLCCを子会社として擁することになった。

 2社のLCCも含むANAグループの総機材数は、2016年度末の268機が2020年度には335機に増える。今回の中期計画では、フルサービス航空会社(FSC)であるANAと、LCCの2社をどのように成長させていくのだろうか。

◆国際線:リゾート強化

 ANAの国際線生産量は、2017年度の座席供給量を示すASK(有効座席キロ)647億7800万席キロを、2020年度は約3割増加させる。羽田と成田両空港を拠点とする「首都圏デュアルハブ戦略」を継続し、羽田の深夜早朝枠も活用した展開を図る。

 短距離国際線には、2016年12月に受領を開始したエアバスA320neoを投入し、2019年度からは成田-ホノルル線に総2階建ての超大型機エアバスA380型機を就航させる。

 日本航空(JAL/JL、9201)との競争が激しいホノルル路線には、ビジネスクラスにフルフラットシートを採用したボーイング787-9型機を投入。グループ会社のANAセールスと連携して新たなリゾート需要開拓や、アジアの後背地需要の取り込みを進める。

◆国内線:プレミアムクラス刷新へ

 一方で、国内線生産量は2017年度のASK584億5500万席キロを、2020年度は約2%減らす。2016年11月に就航したエアバスA321ceoを、2017年度は4機導入。高需要期は大型機の稼働率を高め、低需要期は小型機を活用する機材運用「ピタッとフリート」を推進することで、収益性を高める。

 また、普通席にプラス9000円で提供している上位クラス「プレミアムクラス」を刷新する。一方、三菱航空機が開発を進めているリージョナルジェット機「MRJ」については、言及しなかった。

◆LCC:ピーチのノウハウ共有懸念

 ピーチとバニラについては、独自性を維持すると強調。機材はともにエアバスA320型機(1クラス180席)を使用しており、2017年度はピーチは2機増機して20機体制、バニラは3機増機して15機体制にする。

 2017年度の生産量は、ピーチが78億席キロ、バニラが49億8000席キロで、2020年度はそれぞれ約2.2倍に増やす。

 ピーチは今夏に仙台空港を、2018年度に新千歳空港を拠点化し、機材を夜間駐機出来るようにして機材稼働率を高め、路線網を柔軟に組めるようにする。一方、バニラは就航当初から計画していた、片道7000から8000キロの中距離LCC市場への進出検討を本格化させる。

 ANAHDはLCC事業について、両社の連携による徹底した効率化を進めるとしている。しかし、国内初のLCCとして数々の成功事例を築き上げてきたピーチにとっては、独自ノウハウがバニラやANAに流出する危険性もあり、ANAHDが対応を誤れば、優秀な人材の流出につながりかねない。

 ANAHD上席執行役員の芝田浩二グループ経営戦略室長は、「出せるものは知見を伝授して欲しいというのが、親の気持ち」と、親会社としての本音をのぞかせた。

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 A380により、JALの牙城であるハワイへ攻め込むANA本体の国際線強化と、ピーチの子会社化によるLCC事業の強化が、2020年度の目標達成に向けた大きな柱となる。

 中期計画の期間中には、整備などを受託した次期政府専用機の運用が始まり、次期長距離国際線機材となるボーイング777X(777-9)の導入に向けた準備も本格化してくることから、多様な課題を円滑に進めていく舵取りが求められる。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:5/8(月) 8:15

Aviation Wire