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スマホやタブレットで幼児の言葉が遅れる?米国小児科学会調査

ZUU online 5/8(月) 6:40配信

デジタル機器の幼児(生後6カ月から2歳)への影響に関する調査から、「30分iPadなどのモバイル・デバイスを使うごとに、言葉が遅れるリスクが49%高くなる」 という結果が報告された。

研究を発表した米国小児科学会(AAP)や米言語療法士は、子ども言語能力の基盤が築かれる重要な時期に、デジタルの影響で子どもが耳にする言葉や会話の量が減ることに懸念を示している。

■感情表現の発達に悪影響?幼児は平均28分、タブレットを利用

パソコンやスマホ、タブレットなど、デジタル機器が子どもの発達におよぼす影響の調査には多数の研究機関が取り組んでいるが、iPadと言語発達の関連性を探った調査は今回が初めて。米国で毎年行われる合同小児科学会、「プレディアトリック・アカデミック・ソシエティーズ・ミィーティング」で発表された。

調査対象となった米国の幼児894人が、平均1日28分、スマホ、タブレット、小型ゲーム機などのモバイル・デバイスを日常的に利用しているが、「利用30分ごとに、感情表現面での言語発達を遅らせるリスクが49%あがる」ことが、調査で発見された。

体を使って感情を表現するジェスチャーや社会的交流への影響は一切、認められなかった。

■AAP「18カ月未満の幼児にはデジタル・コンテンツは不向き」

調査の責任者、キャサリン・バーキン博士は、トロント小児病院で科学者として研究に取り組む一方、トロント大学では小児科の准教授として活躍する小児科分野の専門家だ。

調査では、幼児が18カ月に達した時点までにモバイル・デバイスを利用した合計時間から、一日の平均時間を算出。その後、スクリーニング手法を用いて各幼児の言語能力(周囲の関心を引くために「あー、うー」など声をだすか、言葉を発するかなど)が測定された。

バーキン博士は今回の調査結果から、モバイル・デバイスと言葉の発達の関連性を確信しているものの、立証するにはさらなる研究が必要だと述べている。

AAPは現在、18カ月以上24カ月未満の幼児には、「幼児自身が何を見ているのか理解できる良質なコンテンツ」の鑑賞のみを推奨している。18カ月以下の幼児には、デジタル・コンテンツの利用を一切推奨していない。

■言語療法士「子どもは人とのコミュニケーションで言葉を学ぶ」

しかし子育て環境の理想と現実は大きく異なる。2013年にコモン・センス・メディアが実施した調査からは、24カ月未満の幼児の40%がモバイル・デバイスを利用していることが報告されている。2011年と比較して、わずか2年で10ポイント増という勢いだ。

また最近、英大学研究機関 が6カ月から3歳の幼児を対象に行った調査からも、75%が日常的にモバイル・デバイスに触れていることが判明した。

子どもの言語発達について書かれた育児書、「おしゃべりの時間」の共同著者として知られるミッシェル・マックロイ・ヒギンス氏は、今回の調査結果は「驚くに値しない」とコメントしている。

ヒギンス氏は言語療法士として何百人という幼い子どもと接した経験から、「子どもが言葉を学ぶうえで最良の手段は、周囲の人間とのコミュニケーションである」と確信しており、逆に「会話の少ない環境で育った子どもは、言葉の発達が遅れがち」だという。

ヒギンス氏の見解によると、子どもが将来的に言語で遅れをとらないためには、「言語能力の基盤が築かれる2歳までに、可能なかぎり多くの言葉を聞かせておくことが重要」である。

そんな重要な時期に、モバイル・デバイスを親にとって便利な「デジタル・ベビーシッター」として利用してしまうのは危険だろう。気づかないうちに家庭内での会話が減り、結果的に子どもが言葉を覚える環境をうばいかねない。生活の慌ただしさに追われる親にとっては、身に染みる教訓だ。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

最終更新:5/8(月) 6:40

ZUU online