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キム・ハヌルと大違い 日本人選手の飛距離コンプレックス

日刊ゲンダイDIGITAL 5/8(月) 12:00配信

【ワールドレディス・サロンパス杯】

「観客は4万人を超えたけど、やっぱり日本人選手に勝ってもらわないとねぇ。昨年は東コースで飛ばし屋のトンプソンが勝って、それなら西コースはどうかと思ったんだけど……」(主催者)

 舞台となった西Cは昨年大会の東C(6605ヤード)よりも距離が長く、しかもフェアウエーが狭くてグリーンも小さいため、ショットの精度とテクニックが求められる設定だった。簡単に2オンできるロングホールも少なく、必ずしもロングヒッターが有利ではなかった。主催者は日本人選手にもチャンスありとみていたわけだ。が、その思惑は見事に外れた。

 大会史上最多の4万1484人の観客を集めた今大会は、レキシー・トンプソン(22)の連覇でも、日本人選手の3大会ぶり優勝でもなく、首位発進のキム・ハヌル(28)が逃げ切り2戦連続優勝。賞金ランク1位に立ち、昨年のリコーカップからメジャー連勝となった。

 主催者のトンプソン封じは、西Cに変更して成功している。

 昨年はパー5で2イーグル、5バーディー、1ボギーの8アンダー。ところが今年は6バーディー、1ボギーの5アンダーだった。パー4では昨年1つもなかったダブルボギーを2回もたたいている。

 最終日も右ドッグレッグホールの2番パー4でダブルボギー。ティーショットは一番飛んだが、グリーンを狙うには左サイドの木が邪魔になり、低い球で花道から転がし上げる作戦をとったものの、グリーンをオーバーしてバンカーへ。3打目の脱出も4打目も寄らなかった。

 評論家の菅野徳雄氏が「キムはトンプソンにオーバードライブされても自分の距離でゴルフをしていた」とこう解説する。

「ゴルフはいかに自分の飛距離を維持するかが大事なのに、日本人選手は昔から飛ばすことにこだわっている。だから、飛ばし屋のトンプソンと同組になると、しゃかりきになってクラブを振り回してスイングのバランスを崩してしまう。普段より飛ぶというのは、思惑以上にパンチが入ったり、ヘッドスピードが出ているわけで、自分のゴルフと違うことをしている。小針春芳も戸田藤一郎もボールが飛びだすというのは怖いと言った。それは飛ばした感触が手に残ってグリーン上でスムーズにパットができない悪影響が出てくるからだ。その点、キムは終始自分のテンポを保って、飛ばなくてもいいという勇気を持ってトンプソンと戦っていた。もちろんキムも飛ばそうと思えば飛距離は出るのだろうが、スイングのバランスは最後まで崩れていなかった」

 春先のゴルフ場はグリーンもフェアウエーも硬く、ショットの良し悪しがはっきり出るという。

「キムはボールをクリーンにとらえて、フィニッシュまで振るゴルフに徹した。日本人選手のように飛ばさなければいけないというコンプレックスは、みじんも感じられなかった」(前出の菅野氏)

 この大会は毎年海外の有名選手を招待して華やかだ。だが、日本人選手を勝たせたかったら、飛ばし屋を呼ばないことだ。もっとも、ここ7大会で韓国人優勝は4度目であり、どのみち勝ち目は薄いか。

最終更新:5/8(月) 12:16

日刊ゲンダイDIGITAL