ここから本文です

世界屈指の仮想通貨国に変貌を遂げるか?ロシアに秘められた可能性

5/8(月) 12:10配信

ZUU online

仮想通貨に猛反対していたはずのロシアで、ブロックチェーンの受け入れ姿勢が軟化している。ロシアは優秀なエンジニアの宝庫として評される国であるだけに、取組みの進捗次第では世界屈指の仮想通貨国になる可能性を十分に秘めている。

政府によるブロックチェーン研究への取り組みや次世代スタートアップのQIWIが企画していた「ビットルーブル」の行方、クリル諸島での日本との共同仮想通貨の開発の報道などについて紹介しよう。

■ビットコイン取引、利用に実刑7年の法案

ロシア中央銀行は2014年、マネーロンダリングやテロの資金、既存の金融システムにおよぼす潜在的リスクを理由に、ビットコインの取引および利用が犯罪行為に該当する可能性を示唆した情報書簡を発表した。ビットコインの流通促進は国内での代用貨幣流通を禁じたロシア連邦憲法27条に反する「疑わしい行為」とし、ビットコイン取引を控えるよう国民に警告している。

この流れを受け、ビットコインユーザーに罰金50万ルーブル(2017年4月時点で約97万円)又は地域奉仕を命ずる刑罰を支持していたロシア財務省が、最高4年の服役を課す法案を提出。銀行などの金融機関に対しては、最高実刑7年と250万ルーブル(2017年4月時点で約406万円)の罰金に加え、ロシアにおける金融業務の永久廃止を課す案などが出された。

しかし各国の政府がブロックチェーン研究に乗り出し、ビットコインが市民権を得るにつれて警戒心が揺るぐ様子が見え始めた。実際のところロシア中央銀行は今年に入り、「ビットコインが違法ではない」との声明を改めて発表している。

■中央銀行がイーサリアムベースの分散型台帳プロトタイプをテスト

2016年には中央銀行がブロックチェーンの研究組織の設立を正式発表。金融機関ネットワーキングツール開発の一環として、イーサリアムベースの分散型台帳プロトタイプ「Masterchain」のテストを実施した。

続いて2017年には新たなFinTechグループ「FinTech Association」も結成するなど、急激にブロックチェーン技術への関心を具体化している。「仮想通貨とブロックチェーンは別もの」との見方もあるが、ロシア初のビットコインATMがサンクトペテルブルクに設置された事実と照らし合わせると、政府の仮想通貨に対する見解の変化を否定するわけにはいかない。

それを証拠に、2017年4月にはロシア初の「ブロックチェーン・アンド・ビットコイン・カンファレンス」がモスクワで開催される。

■仮想通貨「ビットルーブル」は日の目を見るか?

政府がブロックチェーンの受け入れ姿勢を軟化させたことで、国内の仮想通貨事情が好転する期待が膨んでいる。

そこで再び注目されているのが、次世代決済スタートアップQIWIが2014年前後から開発していた仮想通貨「ビットルーブル」だ。2016年の発行を予定していたが、政府からの猛烈な批判と圧力があったとされ、プロジェクトがお蔵入り状態になっている。

「ビットルーブル」の詳細については現在もほとんど明かされていない。発表当時、コストを削減する意図でブロックチェーン技術、あるいは「ビットシェアズ」の技術を自社システムと融合させることなども計画していたことが、セルゲイ・ソロニンCEOの発言から明らかになっている。

また2015年に仮想通貨雑誌「ForkLog」の取材に応じた仮想通貨開発エグゼクティブ、アレクセイ・アルヒーポフ氏が、「多くを語る段階ではない」と警戒しつつも、イーサリアムのプラットフォームやスマート・コントラクトの採用も視野に入れていることを認めた。

ロシアでの仮想通貨発行には中央銀行の承認が必須となる。「ビットルーブル」の発行が立ち消えになった原因はそこにあったといわれている。しかし政府の態度が軟化した今、QIWIによるロシア初の仮想通貨発行に希望の光が差しこんだと考えるのは時期尚早だろうか。

■ロシア、日本による千島列島への共有仮想通貨導入の報道

ここに来て興味深いニュースが報じられている。ロシアと日本が千島列島(クリル諸島)における共同経済プロジェクトの一環として、仮想通貨を導入する可能性があるというものだ。

両国の政府は2016年12月、北方領土問題で長年にわたり焦点があてられてきた千島列島をめぐり、共同経済活動を促進することで合意に至った。FutureBanking誌が報じたところでは、千島列島の共通仮想通貨案は日本側から出されたという。

ロシア外務省のザハロワ報道官は「提案を検討する」としながらも、「ロシア連邦法に違反しないという条件下でのみ推進可能」と語った。

ロシアは常々、自国がテクノロジーのパイオニアであると自負している。確かに優秀なエンジニアの育成に力を入れており、高い技能を持った人材の宝庫として知られている。ロシアがその気になれば、世界屈指の仮想通貨国に変貌を遂げることも十分に可能なはずだ。(提供:MUFG Innovation Hub)

最終更新:5/8(月) 12:10
ZUU online