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インベストペディア――ここに取り上げられれば「一人前の金融用語」

ZUU online 5/8(月) 17:00配信

1999年に立ち上げられた“金融版ウィキペディア”ともいえる英語金融辞書サイト「インベストペディア」。ウィキのように非営利団体による運営ではないが、投資初心者から上級者に至るまで、金融に関する様々な用語やコンセプトを検索し、動画付きでわかりやすく学べるように工夫されているとても便利な情報源だ。ネット分析のSimlarWebが集計した世界投資サイト格付けで6位のランキングを誇る。

■インベストペディアに取り上げられれば「一人前」

金融界では、「新しい仕組みや概念がインベストペディアに取り上げられれば、それは『一人前』になったことだ」と見なされる。

代表例が、IT技術を駆使した新たな金融サービスの「フィンテック」だ。実は、ほぼ30年の歴史がある古いコンセプトだが、インベストペディアに初登場したのは2015年になってから。「ついに金融用語として認められた」と、話題になった。また同年には急成長を遂げるベンチャー企業を指す「ユニコーン」もインベストペディアの辞書に加えられている。

誰でも解説者になれる非中央集権型オンライン百科事典のウィキペディアとは違い、インベストペディアの辞書である「アカデミー」では金融各分野の著名な専門家が記事を執筆し、専任の編集者やデータサイエンティストたちがチームでその内容を監修して、簡潔でインパクトのある解説を提供できるよう心掛けている。

主に「信頼できる辞書」として知られるインベストペディアだが、最新の金融・経済ニュースや株式分析、投資ファンド解説、テクノロジーの注目株、投資オプション、リタイア後のマネー管理など多様な分野に記事や動画を常時アップロードし、訪問者が正しい投資判断ができるように手助けしている。

訪問者の質問に答えるファイナンシャルアドバイザーは無報酬だが、サイト内の投資相談室「アドバイザー・インサイト」の25の質問に答えると自分を紹介する動画を無償でインベストペディアにおいて流してもらえる。50の質問に答えれば、「今日の用語」のコーナーで広告を打てる特権も与えられる。

回答数が200以上と多いアドバイザーには、投資アドバイスを求める訪問者をマッチングして、アドバイザーのビジネスの収益源にできるようにするサービスもある。インベストペディアが擁する30万人のアドバイザーのうち、選りすぐりの100人の専門家を紹介する。これは、著名で信頼ある執筆陣を誇るインベストペディアだからこそ提供できるサービスである。競合のナードウォレット、キプリンガー、クレジット・ドットコムなどにはマネができない。

訪問者(トラフィック)は年率20%近くで成長して月間2700万人に達する一方、ページビュー数は月間7100万、動画再生数は月間700万、主に閲覧されたページに出稿された広告などから得る収益は前年比40%も増加するなど、ブランド力を確立した同社は投資先としても面白い企業だ。

■コンテンツ強化に注力、CNN出身者をコンテンツ担当副社長に

インベストペディアは2016年、コンテンツ担当副社長に米CNNのマネー関連部門を育て上げたケイレブ・シルバー氏を迎え、ニュース論説や専門家インタビュー、金融界の著名人物紹介、企業紹介などを充実させている。

特に力を入れているのは、シルバー氏がCNNで長年手掛けてきた動画コンテンツだ。読み物に加え、ビジュアルと音声で難しいコンセプトを理解しやすくすることで、さらに評判を上げている。また、読み物には多くのインフォグラフィックスやチャートを導入し、コンテンツの質を向上させている。

インベストペディアのもうひとつの特徴は、データサイエンティストを活用した編集だ。同社のデータサイエンティストたちは常時、インターネット全体でどのような用語やニュースが検索されているかをモニターし、データを集計・解釈して6人の編集者に渡す。編集者はそれを基に、刻々とホームページで掲載する内容を決定し、変更を加えていく仕組みだ。

インベストペディアは「金融版ウィキペディア」の別名通り、速報性は追求しない方針だ。あくまでも用語解説や投資アドバイスを基本として、それに役立つ最新のニュースを厳選して掲載するスタイルを採用している。また、解説記事は広く浅くではなく、掘り下げた内容を目標にしている。

こうした編集方針は、デイビッド・シーゲルCEOによって示されたものだ。シーゲルCEOは、インベストペディア入社前に有力投資サイト『シーキングアルファ』の社長を務めていたため、別の投資サイトであるインベストペディアでも、コンテンツ充実の成果をすぐに出すことができたのである。

■有力投資家やメディアも注目

主に投資初心者をターゲットにしてきたインベストペディアであるが、「金融版ウィキペディア」の異名をとるようになってからは、有力投資家やメディアにも注目されるようになった。ちょっとした検索に便利だし、情報の信頼度が高いからである。日本の投資サイトや金融情報サイトにおいても、「インベストペディアによると」と情報ソースに採用されるようになっている。

米金融ニュース各社も、インベストペディアの記事やインタビューを引用することが増えるなど、存在感を増している。ロイター通信は2016年10月に「ミレニアル世代、大人の条件は経済的自立」という記事を配信し、マネーのリテラシーを向上させてくれる情報源を若い人向けに紹介した。そのなかでインベストペディアは、「投資やインフレーションやバリュー投資といった経済用語への理解を深める個人指導の授業を提供している」と紹介されている。

インベストペディアは今や、金融リテラシー教育に欠かせない存在になっているのである。(岩田太郎、在米ジャーナリスト)

最終更新:5/8(月) 17:00

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