ここから本文です

指導要領に「鎖国」復活…どう考えればよい?

ベネッセ 教育情報サイト 5/8(月) 10:00配信

次期の学習指導要領(小学校は2020<平成32>年度から、中学校は21<同33>年度から)が、3月末に告示されました。そこでは歴史教育をめぐって、2月の告示案で江戸時代から削除された「鎖国」という表記が復活し、「聖徳太子」も小学校で本名の「厩戸王(うまやどのおう)」を外すなどの修正が行われました。どう考えればよいのでしょうか。

教えやすさ=学びやすさに配慮

政府の重要な決定に関しては、広く国民の意見を聴いてから正式に決める「パブリックコメント」(意見公募手続、パブコメ)が行われています。今回の指導要領案も、2月14日から3月15日までの間に1万1,210件の意見が寄せられました。主な意見に対しては、文部科学省が114項目にわたって、理由とともに受け入れの可否を回答しています。

「鎖国」は2月の案で、「幕府の対外政策」に替えていました。そもそも「鎖国」は当時使われていた言葉ではなく、幕末から明治時代に「開国」との対比で使われたものでした。幕府の管理下で一定の交流や交易が行われていたことも反映させ、改めるよう提案したものです。

これに対して、パブコメに反対が寄せられると、文科省は、▽これまでの学習との継続性や、幕末における「開国」との対応関係に配慮する▽「対外政策」という表記では、内容が理解しにくい……という理由で、「鎖国などの幕府の対外政策」(中学校)というように、表現を復活させました。

一方、聖徳太子は、小学校で「聖徳太子(厩戸王)」、中学校で「厩戸王(聖徳太子)」とする案を示していたのですが、これにも「教えにくいばかりか、児童・生徒が混乱し、理解の妨げとなる」といった意見があり、文科省は、これを受け入れて「聖徳太子」に統一。ただし中学校では、「厩戸皇子」(「古事記」「日本書紀」の表記)が後に聖徳太子と称されるようになった経緯を、史実として扱うよう明記しました。

もっとも高校では、既に鎖国や聖徳太子を強調しない教科書が増えています。
今回の<復活>は、あくまで小・中学校の教員の教えやすさ=子どもの学びやすさに配慮したものと言えます。

1/2ページ

最終更新:5/8(月) 10:00

ベネッセ 教育情報サイト