ここから本文です

北朝鮮のICBM開発はどこまで進んでいるのか

BUSINESS INSIDER JAPAN 5/8(月) 8:10配信

2011年1月、当時のロバート・ゲーツ米国防長官は、「北朝鮮が米国本土に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を5年以内に開発できるだろう」と述べるとともに、「アメリカの直接の脅威になりつつある」と懸念を示した。

米政府高官が具体的な時期を挙げて北朝鮮によるICBM開発の可能性について公に言及するのは異例で、当時大きな注目を浴びた。

あれから6年。ゲーツ元国防長官の予測は外れ、北朝鮮はまだICBMを完成させてはいない。発射実験も行っていない。しかし、11年以来、北朝鮮は着実に技術的な進歩を見せている。

今年元日には金正恩・朝鮮労働党委員長が「新年の辞」で、ICBM試射準備が最終段階にあると述べ、近い将来に ICBM 試射を行う可能性をほのめかしている。この原稿では北朝鮮のミサイル全般のほか、北朝鮮が開発を急ぐICBMとはそもそもどのようなミサイルなのか、北のICBM開発はどこまで進んでいるのかなどを記したい。

移動可能で発射地点の特定困難

北朝鮮はこれまでに数々のミサイルを開発してきた。4月15日の平壌での軍事パレードでは、新型ミサイルやモックアップ(模型)と推定されるものを含めた弾道ミサイル7種類と対艦巡航ミサイルを公開した。ノドンやムスダン、テポドンなど様々な北朝鮮のミサイル名がニュースで飛び交うが、韓米などは北朝鮮の弾道ミサイルを地名からとって呼んでいる。

例えば、射程約1300キロで日本のほぼ全域に届くノドンは蘆洞、射程2500~4000キロで米領グアムを射程に収めるムスダンは舞水端、1998年に発射されて日本列島の上空を越えて太平洋に落下した射程1500キロ以上のテポドン1号は大浦洞からきている。短距離ミサイル「スカッド」は旧ソ連製で、北朝鮮が70年ごろにエジプトから入手し、開発や生産、配備を進めてきた。

一方、北朝鮮によるミサイルの分類はわかりやすい。ノドンやムスダン、テポドンなどの弾道ミサイルを「火星」、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を「北極星」とそれぞれ呼んでいる。テポドンだけは人工衛星の打ち上げを称しており、そのロケットを「銀河」、人工衛星を「光明星」と命名している。 一般に弾道ミサイルは射程1000キロ以下が短距離、1000~5500キロが中距離、5500キロメートル以上が長距離に分類される。北朝鮮は短距離のスカッドを800発以上、中距離のノドンを200発以上保有しているとみられる。

ICBMとは地上発射式で、他の大陸を射程距離に収める弾道ミサイルのこと。その有効射程距離については、米ソの戦略兵器制限条約(SALT)をめぐる交渉では5500キロ以上と規定された。金正恩委員長が開発を推し進めるICBMは小型化された核弾頭を搭載。最大射程距離1万2000キロで、ニューヨークやワシントンのようなアメリカ東部地域まで打撃を加えることのできるKN-08とその改良型となるKN-14のことだ。車載式で移動可能なため、米国にとっては発射地点を事前に特定することが難しくなる。

1/2ページ

最終更新:5/8(月) 8:10

BUSINESS INSIDER JAPAN