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日本の食品、原発事故の影 31カ国・地域、続く輸入規制

北海道新聞 5/8(月) 11:39配信

中国のテレビ、産地を誤認

 2011年3月の東京電力福島第1原発事故をきっかけに、海外31カ国・地域で日本産の農林水産物の輸入規制が続いている。日本政府は放射性物質検査などにより「安全性が証明されている」と規制緩和を求めているが、中国などではイメージ回復に至っていない。各国の規制は、道内産のコメ、乳製品を含む日本食品の輸出拡大にとって壁となっている。

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 「極めて遺憾なことだ。安全性が確保された食品のみが流通し、輸出されている」。3月下旬の記者会見で、山本有二農水相は中国にいら立ちをにじませた。

 中国は原発事故後、東京、福島、長野など10都県産の全食品の輸入を禁止している。山本氏の記者会見の6日前、中国国営中央テレビがこれらの地域で生産された食品が中国で流通していると報道。中国のスーパーで日本産食品の撤去が相次ぐ騒動となったが、実際にはテレビ側が産地を誤認していた。

 輸入規制は「禁輸」「検査証明書の要求」「自国での検査強化」に3分類され、一時54カ国・地域がなんらかの規制をしていた。その後、カナダやベトナムなどが規制を撤廃。現在31カ国・地域が規制を続ける。

台湾の禁輸解除に「弱腰外交」と批判

 そのうち中国や香港などアジアを中心に9カ国・地域が禁輸を実施。日本の農林水産物の16年輸出額トップ(1853億円)の香港では福島、茨城、栃木、群馬、千葉各県の野菜・果実や乳製品を禁輸にしている。背景には政治的な事情もあり、台湾の蔡英文政権は昨年11月、福島を除く4県の禁輸解除を検討すると表明したが、野党から「弱腰外交」と猛反発を受けた。

 欧州連合(EU)やブラジルなど19カ国・地域は、日本側に検査証明書の提出を要求。日本の輸出事業者は、放射性物質の検査結果や産地を証明する書類を用意する手間がかかり、輸出の障壁となっている。パキスタンなど3カ国は、自国での検査を強化している。

 人口減が進む日本の農業活性化のためには、輸出拡大は不可欠だ。政府は「19年に農林水産物輸出額1兆円」の目標を掲げるが、16年は前年比0・7%増の約7500億円と伸びが鈍化している。

北海道新聞

最終更新:5/8(月) 20:30

北海道新聞