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サプライズ仕掛人、M・ナイト・シャマランが語るネット時代の“ネタバレ問題”

5/8(月) 7:00配信

ぴあ映画生活

『アンブレイカブル』『サイン』のM・ナイト・シャマラン監督の新作『スプリット』が来週12日(金)から公開になる。本作は、ひとりで23もの人格をもつ男に誘拐された3人の女性の行方を描くスリラー映画で、衝撃的なラストが用意されている。毎作、観客がアッと驚く結末が用意されているのがシャマラン作品の特徴だが、近年はネットの普及で公開後すぐに“ネタバレ”してしまう危険性もある。サプライズを“仕掛ける側”のシャマラン監督は、ネット時代のネタバレについてどう考えているのだろうか?

『スプリット』その他画像

映画は、誕生パーティに参加した3人の女子高生が、帰りに見知らぬ男の誘拐されるところから始まる。ある時は理性的に振る舞い、ある時は女性のような口調で話す犯人は、ひとりで23もの人格を持つ男だった。3人が密室から脱出するため右往左往する中、犯人の中に“24番目の人格”が芽生えはじめる。

シャマラン監督は長年、複数の人格をもつキャラクターが登場する新作を構想していたが「この題材はハリウッドでつくるにはダークすぎるし、通常のハリウッド映画のセオリーから外れる要素がある」ため実現しなかった。転機が訪れたのは4年前。「小規模な映画づくりをするようになったこと」で本作が実現した。「予算をかけない小規模な製作体制にすることで、自由を得ることができたし、これこそが本当に自分にやりたかった映画づくりだと気づいたんだよ。僕はいつも、ひとつのジャンルに固執するのではなく“オリジナルな映画”が作りたいと思っているからね」

犯人の人格がめまぐるしく変化するように、本作も次々に新しい展開が訪れて、観客を翻弄する。「現代の観客はバカではないから、恋愛映画で主人公のふたりが結ばれない方向に話が進むと“ああ、最後にふたりはくっつくんだな”と思うんだ(笑)。もちろん、作り手はトラブルを起したり、実は女の子にフィアンセがいたとか色々と仕掛けを用意するけど、主人公が“あの人は大丈夫だな”と思ったら、観客は逆に“あいつは怪しい”って考えるものなんだよ。だから、どうやって観客を誘導していくのか、いつも考えなければならないんだ」

観客があれこれ予想しても、それらを裏切るラストが用意されているのがシャマラン映画だ。しかし、誰かが結末をうっかり明かしてしまったら、すべては台無しになる。「僕が『シックス・センス』を撮った頃(1999年公開)は、今みたいにネットが普及していなかったから、映画の結末を広めたければ、直接会って、喋るしかなかった。さすがにそんなことする人はいなかったよ」

しかし、現在はSNSが普及し、直接会わなくても映画の結末をバラすことができるし、うっかり目にしてしまう可能性も高まった。しかし、シャマラン監督は「ある時期まで、ネットは無法地帯みたいな状況だったけど、ここ数年はネットの中にも秩序ができつつある」と分析する。「この映画の全米公開4か月前に、500人のジャーナリストを集めて最初の試写を行ったんだ。上映後に、結末についてどの程度まで書いていいのか聞かれたから、僕は“もし、あなたが結末について書かなければ、観客もあなたと同じように映画を楽しめると思いますよ”とだけ言ったんだ。中には“もし、ネタバレを書いた記者がいたら、俺が殺しに行くぜ!”ってジョークを言ったジャーナリストもいたな(笑)。その後もアメリカでいくつかの場所で試写会をやり、その後に公開されたわけだけど、こちらが強制しなくても秘密は守られたし、“奇妙な紳士協定”が継続したんだ。だから、お客さんは本当に温かいなぁと思ったよ。トランプが大統領になるような社会で、最も人間的な温かさを感じられる話かもしれない(笑)」

シャマラン監督は“ネタバレ禁止”を強制するのではなく「結末を知りたくない人は情報が入ってこないようにできるし、知りたい人は自分で調べることができる状態がいい」と考えているようだ。

『スプリット』
5月12日(金)より全国公開

最終更新:5/8(月) 7:00
ぴあ映画生活