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米商務長官、幸福銀行投資で大儲けの過去

ニュースソクラ 5/8(月) 15:00配信

東芝再建のカギ握るロス氏 「日本は素晴らしい資本の供給源」

 東芝が売却を進める半導体子会社「東芝メモリ」の先行きが混沌としてきた。

 1次入札に参加した米半導体大手のブロードコムや米投資ファンドKKRに、政府系ファンドの産業革新機構や日本政策投資銀行などの日本勢が合流を検討している。

 一方、「最大3兆円の資金を投じる用意がある」と豪語する台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は、傘下のシャープに出資を呼び掛けるとともに、郭台銘会長自ら訪米し、トランプ政権へ雇用創出の見返りに支援を要請するなど不退転の意欲を示している。

 さらに、東芝と四日市工場でメモリーを共同生産する米ウェスタンデジタルは合弁契約を盾に独占交渉権を強く求めているが、同時に産業革新機構や日本政策投資銀行との合流もちらつかせている。5月中旬に予定される2次入札に向けて鞘当ては熱を帯びてきた。

 買収候補に産業革新機構や日本政策投資銀行が合流を検討し始めた背景には、日米経済対話に合わせて来日したウィルバー・ロス米商務長官と世耕弘成経済産業相の会談(18日)があることは確かだ。

 詳細は明らかになっていないが、会談でロス氏から東芝に関する言及があり、「東芝問題に関し、日米で情報の共有を続けていくことが確認された」と経産省幹部が明かしている。

 日米政府は、東芝メモリの技術が中国・台湾等に流出することを懸念しており、日米協調買収を水面下で支援する可能性が高い。

 その東芝再建の鍵を握るロス商務長官は、かつて日本の銀行再生に投資し、大儲けした過去がある。世界有数の資産家、投資家として知られるロス氏は、1999年に経営破綻した幸福銀行を買収し、見事再建させた知日派としての顔も持つ。

 ロス氏が得意とする買収手法は、「LBO=レバレッジド・バイアウト」と呼ばれるもので、買収先の資産やキャッシュフローと自身のジャンク債を担保に資金を調達し、買収した企業の資産の売却や事業を改善させることで再生を図る。いわば少ない自己資本でも大きな資本の企業を買収できるメリットがある手法だ。

 ロス氏が幸福銀行を買収した当時は、日本初の金融危機が叫ばれていたほど緊張した社会情勢で、日本国内に資本を出す余力のある民間企業は皆無に等しかった。頼みは公的資金と海外の投資家しかいなかった。ロス氏もそうした有力な海外投資家の一人であったわけだ。

 そのロス氏が買収した幸福銀行は、2001年に「関西さわやか銀行(現関西アーバン銀行)」として見事再生され、ロス氏は巨額の再生・売却益を手に入れた。

 その関西アーバン銀行は3月3日、同じく関西を地盤とする近畿大阪銀行、みなと銀行と統合することで基本合意した。実現すれば関西最大の地銀グループが誕生することになる。

 トランプ米大統領は議会での初の施政方針演説で1兆ドル(約113兆円)規模のインフラ投資を目指す方針を表明した。

 これを受け、商務長官に起用されたロス氏は、「インフラ投資計画では連邦政府の資金を使うだけでなく、民間からの資金調達も想定している」「日本が米国の同盟国で、金融機関が巨額な資金を保有している。日本は素晴らしい資本の供給源だ」と語っている。

 また、「日本政府の年金基金は巨大で、保有資産を分散しようとしている」とも指摘、米国のインフラ投資計画が、日本の年金ファンドなどの投資の受け皿になり得るとの見方を示した。日本の公的年金GPIF等を念頭に置いた発言であろう。

 日本投資のうまみを知り尽くしたロス商務長官は、東芝メモリが宝の山であることを見抜いている。

■森岡 英樹(経済ジャーナリスト)
1957年 早稲田大学卒業後、 経済記者となる。
1997年米国 コンサルタント会社「グリニッチ・ アソシエイト」のシニア・リサーチ ・アソシエイト。並びに「パラゲイト ・コンサルタンツ」シニア・アドバイザーを兼任。2004年 4月 ジャーナリストとして独立。一方で、「財団法人 埼玉県芸術 文化振興財団」(埼玉県100%出資)の常務理事として財団改革に取り組み、新芸術監督として蜷川幸雄氏を招聘した。

最終更新:5/8(月) 15:00

ニュースソクラ