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ミレニアルが熱狂するパリピ音楽「EDM」は音楽業界を救うか

5/8(月) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

4月29日、ゴールデンウィーク初日の海浜幕張駅は異様な雰囲気だった。

例年のように「ニコニコ超会議2017」に向かう群衆のなかに混じる見慣れないコスチューム。デイジーの花冠にネオンカラーのトップス、真っ白いタンクトップに合わせられた被り物。流れてくるのはアッパー系のビートにドラムン・ベース。「ニコニコ超会議」の参加者とは対極に位置するはずの、「パリピ」だ。

彼らは「ニコニコ超会議」を目指していたわけではない。パリピたちの目的は、ZOZO マリンスタジアムで開かれていた音楽フェスティバル(フェス)「EDC(Electoronic Daisy Carnival)JAPAN 2017」。毎年40万人以上の動員を記録するアメリカ・ラスベガス発のフェスが、今年日本に待望の初上陸を果たしたのだ。

「フェスは、みんなでお酒を飲んでブチ上がるところ。飲んで踊り狂えるのはふつうのコンサートでは味わえない感覚」と語るのは、野口大樹さん(21)だ。お目当てのアーティストは、マーティン・ギャリックス。世界の人気DJランキング、Top 100 DJs 2016で堂々の1位に輝いた、20歳のオランダ人DJだ。

この日、幕張に集結したのは4万1千人。チケットは1万5千円と決して安くはないが、会場は20代前半が大半を占める。彼らが求める音楽は、EDM(Electronic Dance Music)。2000年代後半から欧米を中心に世界的なムーブメントを巻き起こしている。

ネット、SNS、アーティストのコラボ

音楽ストリーミングサイトSpotifyが発表している「もっともストリーミングされた曲ランキング」では、上位50曲のうち12曲がEDMだ。

ここ数年、EDMのDJたちはトップアイドルのような人気を誇る。Forbesによると、もっとも売れているEDMのDJ、カルヴィン・ハリスは、16年だけで6,300万ドル(約63億4,800万円)を稼いだ。

IMS Business Report 2016によると、EDMの経済規模は12-13年の45億ドル(約5,024億円)から14-15年には69億ドル(約7,700億円)規模の市場へと成長している。16年には71億ドルと落ち着いているが、それでも堅調な伸びだ。Forbesによると、CD不況にあえぐ音楽業界にとって、EDMビジネスの躍進は「希望の星」だという。

EDMの源流は1980年代のエレクトロ・ミュージックに遡る。現在は他の音楽ジャンルの流れも汲み、その曲調は多様だ。なので、何がEDMで何がEDMでないのか、はっきりと断言することは難しい。

「EDMとほかのダンス・ミュージックとの違いはその大衆性だ」と話すのはビルボードのアジア支局長、ロブ・シュワルツ(Rob Schwartz)氏だ。日本にもジュリアナ東京やマハラジャが存在したように、クラブやディスコでかけられていたダンス・ミュージックは昔から存在した。しかしそのジャンルは細分化し、相互交流することなくそれぞれのファンに楽しまれていた。

そんなダンス・ミュージックを変えたのがEDMだった、とシュワルツ氏は言う。

ハウス、トランス、テクノといったジャンルに細分化していたダンス・ミュージック。その垣根を越え、さまざまなアーティストたちと共作し、大衆に受け入れられるよう努めたのがEDMのアーティストたちだった。また、EDMのアーティストたちは、その時のヒットソングを自分風にリミックスして、自分の曲として売り出してきたという特徴もある。コンピュータによる作曲もそれを容易にした。

「今ではポップソングとEDMの区別がつかなくなっているけどね」とシュワルツ氏は苦笑いする。CNNは、EDMの成功の要因を「インターネットとソーシャルメディア」、そして「ジャンルを超えたアーティスト同士のコラボレーション」と分析する。

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