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憧れの離島移住……実際どうなの? 日本最南端の有人島・波照間島で聞いてみた

SUUMOジャーナル 5/8(月) 7:30配信

編集部のKです。人であふれる東京のど真ん中で毎日働いていると、思い切ってどこか遠くの南の島に移住しちゃいたいな~! なんて考えたり。でも実際暮らすとなると島はコミュニティが狭そうだし、買い物もできなくて不便そうだし……。リアルに考えるとどうなのかな? と思ってしまいます。そこで島暮らしのリアルを、沖縄県にある日本最南端の有人島・波照間島に移住したお二人に聞きました。

■きっかけは美しい海と星空。島で仕事を見つけたことで憧れの移住が現実に

波照間島は人口約500人、面積12.73km2(島をぐるっと一周するのに自転車で2時間かかりません)。東京から波照間島までは、まず石垣島まで飛行機で行き、その後高速船で約1時間。船は1日に3便、天候による欠航も多いため、まさに「離島」です。
お話を伺ったのは、その波照間島にある『ペンション最南端』に住み込みで働くチヒロさん(31歳・男性)とカナさん(40代・女性)。チヒロさんは島に移住して4年、カナさんは3年になります。

――まずは、移住したきっかけについて教えてください。

チヒロさん「前職は地元埼玉で製造と営業の仕事をしていたのですが、ふと『このまま仕事帰りに死んでしまったら後悔するな……』という風に考えるようになりました。それで、思い切って仕事を辞めて、興味があった放浪の旅をしようと思ったんです。そこで偶然たどり着いたのが波照間島でした。もともと海があるところに住みたかったのと、貯蓄を削りながら旅をしていたのでしばらくここに滞在しようと、波照間島の居酒屋で働き始めたのがきっかけです。その後、こちらのペンションにお世話になることになりました。

ちなみに、居酒屋で働いていたときもオーナーが借りていた家に住み込みで働いていました。波照間島では住まいを用意した上で人を雇うということが多いようです」

カナさん「私は一人旅で波照間島に来たのがきっかけです。8年ほどいま働いているペンションに通っていました。もともと海が好きだったのですが、ペンションの目の前にあるニシ浜の美しさにすっかり魅了され、『いつかここに住みたい』という気持ちが芽生えていました。地元の兵庫で販売の仕事をしていましたが自分にとってちょうどいいタイミングで退職し、波照間島にやってきました。移住当初からこのペンションで働いています」

【画像1】カナさんが愛してやまない「ニシ浜ビーチ」(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

――島ではどのように生活していますか?

カナさん「ペンションの仕事がある日は朝8時に出勤して、朝食の提供、部屋の掃除、ペンションと港間の送迎などで14時くらいまで仕事をします。その後2~3時間ほど休憩をはさんで、16時半~21時ころまで夕食の提供や片付けをして1日の仕事が終わります。夜中にペンションのみんなで食材の魚などを釣りに行ったりもします。
休憩時間は、私は昼寝をするか、晴れていれば海で遊びます。遊ぶといってもマリンスポーツをするわけではなく、海をぼーっとながめたり、海岸を散歩したり、ちょっと泳いでみたりという感じです。休みの日もあまり過ごし方は変わらないですね。島の友達と飲みに行ったりするくらいです」

チヒロさん「休憩時間はほぼ毎日サップ(ボードの上に立ち、オールを使って海の上を進んでいくマリンスポーツ)を楽しんでいます。仕事の後は割と毎晩友達と飲みに行っていますね(笑)。僕も休日の過ごし方はあまり変わらないかもしれません。毎日きれいな海と、満点の星空を見ながら暮らせて幸せなだと思います。波照間は海だけじゃなくて星も本当にきれいなんですよ」

【画像2】チヒロさんの好きな景色のひとつ、満天の星空。波照間島は南十字星が見られることでも知られている(画像提供/チヒロさん)

【画像3】サップを楽しむカナさん。チヒロさんはほぼ毎日海に出てサップを楽しんでいるそう(画像提供/チヒロさん)

――移住する際に、不安なことはありませんでしたか?

チヒロさん「僕はありませんでした。正直にいうと、考える余裕がなかったです。そのときは少しでもお金を稼がなくてはという気持ちだけでしたね」

カナさん「やっぱりお金ですね。ここに通っているときからスタッフの方と話をして、だいたいお給料がどのくらいかは聞いて知っていたんですけど、それでも不安でした」

――その不安は、いまでも気になりますか?

カナさん「思っていたほど気になりませんでした。チヒロさんも言っていたんですけど、島に来て物欲がなくなりました(笑)。メイクも全然しなくなりましたよ」

■島のちょうどいい「不便さ」が魅力。濃い人間関係のおかげで助けられることも

――買い物など、島での生活で不便に感じることはありますか?

チヒロさん「不便までは感じないんですけど、コンビニや牛丼屋など、24時間やっている店がないのが寂しいなとは思います。たまに夜中に出かけたくなるので。日用品などの買い物も、男だからというのもあるかもしれませんが島の売店で事足りています。送料や時間が若干かかりますがネットショッピングも利用できますし。
不便だからといって、普段の生活に困るわけでもないので、不便さの度合いが自分にはちょうどいいと感じています」

カナさん「帰省がしづらいというのはあります。波照間の海は荒れやすく、空港がある石垣島までのフェリーも安定しないし、交通費もかかります。あとは、島には診療所や歯医者さんはあるけど美容院がなくて、髪を切りたいときは石垣島まで行かなくちゃならないんです。いま一番行きたいのは美容院です(笑)。買い物の不便さは慣れちゃえば全然平気ですね」

――人間関係はどうですか?

チヒロさん「島での人間関係は人との距離が近いのでので、合う合わないがあると思います。関係が密接だと、人のいいところだけじゃなくて悪いところも見えやすいです。それがダメな人もいるかもしれません。実際、人間関係が原因で島を出ていく人もいると聞いたことがあります。
僕は“悪いところがあってこその人間”だと思っているので、そこまで嫌だと感じていません。むしろ人が大勢いるところで暮らしていたときは、人の悪いところも受け入れる、ということを考えたことすらありませんでした。
逆に、人間関係が密で助かったこともありますよ。例えば、食材やお酒、いらなくなったけどまだ使えるものをもらったり。家を探していたときに格安で貸してくれたりすることもありました」

――では、島に移住してよかったと思うこと、幸せを感じることはなんですか?

チヒロさん「波照間島に来た人はみんな美しい景色に感動して、本当に喜んでくれます。そんな土地に住んでいられることが幸せだと思うし、周囲からは幸せだなと思われてもいると思います」

カナさん「とにかく毎日ニシ浜を見られることが幸せです」

【画像4】波照間の美しい海の色は「波照間ブルー」と呼ばれている(画像提供/チヒロさん)

【画像5】島の内陸部にはサトウキビ畑が広がる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

――最後に、移住する前と後で変わったことはありますか?

カナさん「私もチヒロさんも、物欲がなくなったのとひどい花粉症が治りました(笑)。あとは、潔癖症が治ったり、虫に強くなったり。自然とそうなりました」

チヒロさん「ものや人があふれているところにいたときよりは、自分にとって何が本当に必要かが見えてきた気がします」

お二人ともずっと波照間島で暮らしていく予定だそう。
「仕事も楽しいし、島の人も好きだし、海も星空も好きだし、自分にはここでの生活が肌に合っている」とチヒロさんが言っていました。もちろん人によって合う合わないはあると思いますが、お二人の話を伺って「いろいろ不便や面倒はありそうだけれど、それでも離島暮らしはいいな~!」と改めて思う筆者なのでした。離島への想いをはせつつ、当面は東京での仕事がんばります……!

●取材協力
・ペンション最南端

SUUMOジャーナル編集部

最終更新:5/8(月) 7:30

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