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【仏大統領選】マクロン新政権はどんな姿に?

BBC News 5/8(月) 16:08配信

7日の仏大統領選を制したエマニュエル・マクロン前経済相は、ほんの数年前には政界の新人だった。マクロン氏は政治に新風をもたらすと約束しているが、彼の新政権はどのような姿になるのか、様々な憶測が飛び交っている。

投票2日前にラジオ出演したマクロン氏は、誰を首相に指名するかは、すでに想定している済みだと口を滑らした。

首相候補の名前は言わず、「政治家としての経験が豊富で、議会の多数派をひっぱる能力がある」と発言をぼかしたマクロン氏は、番組リスナーたちの想像をかき立てるに留めた。

しかし、新政権の顔ぶれをめぐる計画がこうして秘密裏にされている状況なだけに、フランスの新聞各紙は激しい報道合戦を繰り広げている。

ル・モンド紙によると、マクロン陣営内でも新政権の陣容について触れるのはタブーと化している。スタッフのひとりは同紙に、「悪運を恐れる船員が、『ウサギ』という言葉を使いたがらないようなものだ」と語った(訳注:欧州の船乗りにとってウサギは不吉な動物)。

マクロン氏が慎重に構えているのは、理解できる部分もある。政権立ち上げは最良の状況でも細心の注意を要するものだが、ましてやマクロン氏の場合、歴代大統領が未経験の異例な状況での作業となるからだ。

大物対新人

まず、選挙運動の理想と政権の現実だ。マクロン氏は革新と変化を約束したからこそ、エリゼ宮(大統領府)入りすることができた。

マクロン氏は政界アウトサイダーの起用を約束し、既存の政治体制を変え、新たな規範を政治にもたらすと語った。

同氏が発足した政党「前進!」は、スタートアップ企業のような雰囲気で、党の平均年齢は30歳前後だという。しかし、新政権には経験豊かな人物が必要になる。特に安全保障の分野ではそうだ。

「マクロン氏周辺の若い幹部たちは自分たちの出番を待ちきれずにいる」と、左派系の日刊紙リベラシオンで副編集長を務めたピエール・アスキ氏は話す。

「酷い状況の原因は年長者たちだと彼らは考えている。(しかし)マクロン氏には、主要政党の伝統的な大物たちと新入りたちの間でバランスを取る必要がある。若い世代だけでは務まらない」

大胆な改革への期待と政権運営との間でバランスを取るのは容易ではない。マクロン政権では閣僚の顔ぶれは多様なものになるだろうし、議会でも分裂と対立が予想されるだけに、なおのことバランスを取るのは困難だろう。

さらに、ベテランと新人との組み合わせに加えて、従来の右派と左派両方を新政権に取り込むと約束した点も課題になる。

「未踏の領域」

マクロン氏については、右派と左派両方の大物が支持を表明した。しかし、彼らは既存政党の関係を断ち切ったわけではない。一部の支持者はすでに、大統領選でマクロン氏に投票しても彼の政策を支持するわけではないと語っている。

5日公表の世論調査では、財務相経験者のラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事が、首相として一番人気だという結果が示されている。

一部のアナリストは、ラガルド氏が閣僚経験者ながら選挙に出たことがないのは、政治革新を訴えるマクロン氏にとって好都合だと指摘する。

ほかには、ジャン=イヴ・ル・ドリアン国防相の名前も挙がっている。大統領選のライバルで、極右政党国民戦線を率いるル・ペン氏がマクロン氏がテロ対策で弱腰だと批判していたこともあり、ル・ドリアン氏が指名されれば、アスキ氏は「安心してもらおうという意図が示される」と話しており、重要な動きになる。

このほか、中道派の中道のフランソワ・バイル元教育相やシルビー・グラール欧州議員も要職への就任が取りざたされている。

あるアナリストは、マクロン氏の胸の内を知っている唯一の人物は妻のブリジット・トロニューさんだと話す。

ブリジットさんは選挙運動で重要な役割を果たしたものの、新政権で主要な役職に就く可能性は低いと大勢が予想している。

夫妻の関係をめぐっては多くの議論がある。マクロン氏は演劇の授業で、教師だった24歳年上のブリジットさんと知り合い結婚した。そして当のマクロン氏は、政治家による家族の登用を批判してきた。

これだけでも十分に流動的な状況だが、それに加えて1カ月以内に国民議会の選挙が待ち受けている。577全議席が改選対象で、マクロン氏の政党「前進!」は全選挙区に候補を立てる方針だ。

マクロン氏の指南役を務めるアラン・ミンク氏含め新大統領周辺でさえも、「前進!」が絶対多数を占めるのは「政治的な奇跡」になると話す。

ミンク氏は、「連立を組まざる得ないだろう」と話す。「『前進!』は半数が政治の素人で、メールで送られてきた1万4000人分の履歴書から擁立候補を選ぶことになる。その政党から280人の議員が生まれるなど、全く考えられない」。

(ルーシー・ウィリアムソンBBCパリ特派員)

(英語記事 French election: What next for Macron after win? )

(c) BBC News

最終更新:5/9(火) 10:30

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