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13万年前には到達?新世界アメリカ大陸人類史が一気に遡った形跡発見の報告

THE PAGE 5/9(火) 17:10配信

 4月、学術雑誌「NATURE」に、アメリカ大陸最古の人類がこれまで知られていたより10万年以上さかのぼる13万年前に出現していた可能性があるという研究が発表されました。

残されたゲノム・データから迫る なぜ滅びた?氷河期の盛者マンモス

 もし13万年前に、アメリカ大陸にすでに人類がいたとしたら、それはどのような意味を持つのでしょう。そして、そこにはどんな謎が残るのでしょうか。古生物学者の池尻武仁博士(米国アラバマ自然史博物館客員研究員・アラバマ大地質科学部講師)が、報告します。

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アメリカ大陸における人類の出現

 私事から書きはじめて恐縮だが、1997年の冬に初めて渡米した。(恐竜など古生物を学ぶため、まずコロラド州南部にあるカレッジへ編入した。)初めてアメリカの地に立ち、すぐに肌で直接感じたことがある。「日本とはかなり違うぞ!」

 ただの大陸における気候の違いのせいだったのかもしれない(コロラド州デンバーはロッキー山脈にふもとに位置し、標高が1500m近くあり、空気もかなり乾燥している)。長いこと待ち続け、ようやく念願かなっての渡米だった個人的な事情のせいかも知れない。しかし初めてアメリカ大陸の地に足を踏み入れて、何か特別な感覚に襲われたのは、私だけではないと思うが、果たしてどうだろうか?

 この大陸には、何か人類をひきつける不思議な魔力のようなものが、確実に存在するのではないだろうか? チェコの偉大な作曲家ドボルザークは、アメリカに音楽院院長として滞在した4年の間に、「新世界より」という有名な交響曲を書いた。その音色から想像するに、夢や希望のようなものを強くこの大地に感じていたのかもしれない。

 さて人類が初めてこのアメリカ大陸へやってきたのは、具体的にいつだったのだろうか? 今回のメインテーマだ。

 イタリア人の探検家「クリストファー・コロンブスに決まっている」。こう答える方がいるかもしれない。しかしコロンブスが1492年に初めて上陸した時、先住民としてのネイティブ・アメリカンがすでに存在していたのは、広く知られている事実だ。それでは、こうしたネイティブ・アメリカンの祖先が初めてアメリカ大陸へやって来たのは、具体的にいつ頃だったのだろうか?

 実は人類の進化史上、考古学上、大きなミステリーとして我々の前に未だに立ちふさがっている。

 ご存知のようにアウストラロピテクスなど最初期の人類は、「アフリカ大陸を起源とする」という説でほぼ一致している。今から300万年くらい前のことだ。そして「アウト・オブ・アフリカ」という現象が、やがて起きる。人類の化石や遺物が180万年前くらいになると、はじめてアフリカ大陸以外の場所から見られるようになる。中近東を皮切りに、ヨーロッパ、東アジア、そしてシベリア一帯へとユーラシア大陸を地続きに広がっていった。

 しかし最初期のアメリカ大陸上陸の具体的なデータは、驚くほど限られている。大まかにだが1万3100年から1万4600年前くらいの遺跡跡の存在が、北米の中央部や南米のチリなどにおいて知られているくらいだ。

(NATUREの2012年「Ancient migration: Coming to America」の記事など参照:)

 こうしたアメリカ大陸における地理的そして地質年代上のデータは、人類が氷河期の最盛期に、陸地伝いにシベリア東端からアラスカ経由で歩いて渡って来たという仮説が、今のところ最有力だ。(しかしボート等を使って太平洋を横断してきた可能性も理論上ある。)

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最終更新:5/15(月) 6:02

THE PAGE