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黒字化したシャープだが、トップは社員へのメッセージで引き締めを図る

アスキー 5/9(火) 9:00配信

GW明けの5月7日、シャープの戴正呉社長は社員向けのメッセージを社内に配信した。2016年度下期に黒字化を果たした同社だが、製品の強化やコスト意識の向上など、厳しい言葉で改革を継続していくことを強調した。
 シャープの戴正呉社長は、5月7日に「全社一丸、シャープの真の再生に向けて」と題した社員に向けたメッセージを社内イントラネットで配信した。
 

トップのテリー・ゴウ氏とともにトランプ米大統領を訪問
 そのなかで、4月27、28日の2日間に渡り、鴻海精密工業の郭台銘会長とシャープの戴社長が、米ワシントンD.C.のホワイトハウスに訪問。ホワイトハウス米国革新局(OAI)のメンバーと、米国での投資拡大に関する協議を実施したほか、米ドナルド・トランプ大統領と会談したことを明らかにし、「トランプ大統領からは、『自分はシャープのファンだ。シャープ製品には大きな期待を持っている』との話が聞けた」などとした。
 
 戴社長は、「私個人としては機密にしたかったが、4月29日、ホワイトハウスのストロム報道官から、ホワイトハウスを訪問したことをアナウンスされた」とし、トランプ大統領のコメントを引用しながら、「私は、何としても、この期待に応えていかなければならないと考えており、これからも、私が先頭に立って、社員の皆さんとともに、かつてのシャープの輝きを取り戻すために全力を尽くしていく覚悟である。これも、社長就任以来、私が標榜してきたBe Original.の経営でもある」などとした。
 
 今回のメッセージは、シャープ社員にとっては、最大9連休となったゴールデンウイーク明けに発信されたもので、「家族との団欒や休養など、有意義な時間を過ごし、英気を養ったことと思う。心機一転、皆さんのより一層の活躍を期待している」という言葉で始まっている。
 
 まずは、4月中旬に、4日間に渡り、千葉県幕張の幕張ビルと、大阪府堺市の本社で、2年ぶりとなる「トップ事業提案会」を開催し、取引先幹部や営業責任者など、204社1109人が参加したことを報告。
 
 「私から事業方針説明や様々な新製品、開発中の商品の展示、さらには、事業ごとに具体的な商談を行い、出席者から、当社への強い期待の声をいただき、成功裡に終えることができた」とした。
 
 また、4月15日には、堺本社で開催されたシャープ社友会総会で挨拶。前年出席の2倍以上となる約230名人のOBを前に、2016年度の報告、今後の方向性などについて説明したことにも触れ、「OBの方々からは、『1年前は株価が下がる一方で、海外への技術流出も懸念されていた。万が一倒産したらと、ものすごく不安だったが、シャープは確実に再生に向かっていると感じた』『経営のスピード感など、過去のシャープになかった感覚がある。経営方針は明確で、社員もついていくと思う』『継続的な成長を実現してほしい』『社友会としてもより一層のバックアップをしていく』などの暖かい言葉をいただいた」と振り返った。
 
黒字化しても再生の手綱は緩めない
品揃えの強化とコスト意識を高めることを指示
 一方、4月28日に発表した2016年度決算についても言及。「2016年度営業利益は、3年ぶりに黒字化を実現。さらに、全セグメントにおいて、第4四半期、通期、いずれも黒字となり、すべての事業で収益力が回復しつつある。また、当期純利益についても、通期では赤字だったが、下期は黒字となり、2月17日の通期予想を有言実現することができた」と総括した。
 
 また、「売上高は、第4四半期に、11四半期(約3年)ぶりに前年を上回り、ようやく事業拡大に向けた第一歩を踏み出すことができた。皆さんの努力に、改めて感謝する」とし、「2017年度の年間見通しを公表しなかったこともあり、決算発表会に出席した記者やアナリストの最大の関心は、シャープの再生が本物であるのか、そして、2017年度に、成長に転じ、黒字化できるのかということであった。年間見通しは、5月26日の取締役会で決議したうえで、中期計画説明会のなかで公表するが、それまでに、各事業責任者が中心となって、中長期での事業拡大の方向性、新ビジネスモデルの構築し、さらには短期での事業価値最大化のための施策について、具体的なアクションプランをブラッシュアップしていただきたい」としている。
 
 さらに、4月初旬に全マネージャーが出席して開催した「経営検討会」についても報告。「検討会では、各事業責任者から、2017年度計画、中期方針について発表いただいたが、その内容を踏まえ、皆さんに改めて心がけてもらいたいことを2点話す」とし、「幅広く深い品揃え」と「コスト意識を高める」の2点を掲げてみせた。
 
 「幅広く深い品揃え」では、「事業拡大のスピードを一段と加速するため」とし、「テレビやスマートフォン、白物家電、オフィス機器、太陽電池、液晶パネル、電子部品など、業界随一の幅広い事業分野を持っている強みがある。しかし、それぞれの事業分野でのカテゴリー数やラインアップ数など、事業の深さに課題があると考えている。店頭での露出を高めシャープの存在感を際立たせるためにも、また、スマートホームを目指していくうえで、お客様との接点になる機器を広げていくためにも、『幅広く深い品揃え』を持つことは極めて重要である。8KやAIoTなどの新技術を搭載した商品の創出に自ら取り組むことはもちろんだが、鴻海グループとのシナジーや外部の力を最大限に活用することにより、開発スピードを徹底的に速めてもらいたい」と提案した。
 
 「コスト意識を高める」という点では、「私が、いま一番懸念しているのは、下期に黒字化を達成したことで、皆さんのコスト意識が緩むことである。実際のところ、従来のやり方を踏襲した運営による経費支出の事案が散見されており、いま一度、気を引き締めなければならない」と苦言を呈した。続けて、「2017年度は、『守りから攻めへ』『構造改革から事業拡大へ』と舵を切っていくが、だからといって、原価低減の取り組みに終わりはない。今後も、挑戦的な材料費と経費の削減目標を掲げ、従来発想を超えたコスト削減の取り組みを進めてほしい」と要望した。
 
 そのほか、5月14日の「母の日」にあわせて、社員を対象に、ヘルシオグリエAXH1、お茶プレッソTETS56V、スロージューサーEJCP1、超音波ウォッシャーUWA1、ドライヤーIBHD16、布団クリーナーECHX150を特別価格で提供し、「お母様に使っていただける最新の家電製品。この施策を有効に活用していただき、大切なお母様に『いつも、ありがとう』と感謝の気持ちを伝えよう」とした。
 
 最後に、戴社長は、「2017年度は、シャープが再び輝きを取り戻すことができるかどうか、真価が問われる極めて重要な1年となる」としながら、「先日、著名な経営コンサルタントが代表を務める団体から、エグゼクティブを対象にしたセミナーで、『シャープ再生の取り組み』をテーマとした講演の依頼を受けた。しかし、シャープの再生は道半ばであり、まだまだ、取り組まなければならない課題が数多くある。私は、これからも、シャープの経営に全力を傾けていきたいと考えている。全身全霊でシャープの社長としての使命を果たす。社員の皆さんも、私と一緒に、シャープの真の再生に向けて、全力で取り組んでいこう」と呼びかけた。
 
 業績が回復基調にあるシャープだが、今回のメッセージは、そうしたなかにおいても、改革への意識が緩まないように、手綱を締めるものとなった。社員の健闘を評価しながらも、厳しい言葉で鼓舞するあたりは、戴社長流の厳しい経営手法の一端が垣間見れると言えよう。
 
文● 大河原克行 編集●ASCII

最終更新:5/9(火) 9:00

アスキー