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投資家は聞き上手。タクシーに乗ったら必ず◯◯を質問

ZUU online 5/9(火) 11:10配信

さまざまな分野で活躍する「デキる女性」たちに、投資の失敗談をお聞きするインタビューシリーズ第1弾として、Forbes JAPAN副編集長兼WEB編集長の谷本有香さんを訪ねています。

初回では破たん直前の山一證券株を書い続けた経験を、2回目では購入した投資信託が全てマイナスになったエピソードをお話いただきました。

最終回となる今回は、さまざまな経験を経た谷本さんから、成功のコツをお聞きしようと思います。

谷本さんと言えば、これまで1000人を超えるVIPたちにインタビューした経験の持ち主。世界の投資家たちが行っているライフワークには、意外と私たちでも実践できそうなことが多いことが分かってきました!

■有名投資家たちは、情報収集に余念がありません

ーーせっかくなので失敗談だけでなく、投資のコツのようなものもぜひお聞きしたいと思っているのですが、谷本さんは今まで投資家のジム・ロジャーズさんなどに取材をされたと聞いています。どんな方でしたか?

ジム・ロジャーズさんは3~4回取材していますね。

あの方はとてもメディアフレンドリーです。私は基本的にインタビューが終わったら、必ずカードやメールを送るんですけど、通常は誰からも返事が返ってこないです。ところが、ジム・ロジャーズさんだけは返ってくるんですよ。しかもクイックレスポンスで。「ありがとうユカ、楽しかったよ」みたいなことを送ってくれるんですね。まずそんな人は今まで何千人と会った中で彼しかいません。

あとは、ジム・ロジャーズさんのシンガポールの豪邸に行きたいと言っていると、「来なよ!」って言ってくださって、本当にスタッフが行っちゃいました。私は時間が合わなくてたまたま行けなかったんですけど……。

メディアだけじゃなくて、いろんな方にフレンドリーな方ですね。あんな人はまずいないですね。

それは、もともと持ち合わせている性格なのか、あえてああいうことをしているのかは分かりません。メディアフレンドリーにしていれば、メディア側は彼にとって良いことを書いたり、本来は小さいはずの記事が大きくなったりするじゃないですか。そのためにやってるのかもしれないですけれども、でもものすごい好意的にしてくれます。

ーー投資家っぽいところはありますか?

「自分の目で見ないと分からない」という感覚を持っていますね。それは、ほかの有名な投資家の方、たとえば「オマハの賢人」と呼ばれるウォーレンバフェットさんもそうですね。今、何が起こっているのかを数字だけでは判断しないというポリシーはあちこちから聞きますね。

ーー先日、東京証券取引所さんのイベントで、元衆院議員で株式投資をしている杉村太蔵さんのお話をお聞きしたのですが、杉村さんも結構、ご自分でマーケットリサーチみたいなことをしているそうです。投資が好きな方ってそういうところがあるんでしょうか。

そうかもしれないですね。確かに、ジム・ロジャーズさんも情報収集に余念がないですね。

どういうことかというと、彼は残念ながら日本の株はあまり買ってないんですよね。買ってないんだけど、少子化関連のものは買っています。

ーー少子化関連っていうと?

オムツのユニ・チャームとか、育児・マタニティ用品のピジョンとかかな。それは期待も込めて買っているわけですよ。こんなに少子高齢化して「まずい国」はないから、絶対てこ入れがなされるはずだ。だから買っておく、みたいな。ある種応援の意味も込めて買ってるんだそうです。

そして、会うたびに、「ハイ、ユカ。『美味しい株』があったら教えて」って必ず言うんですよ。私が何かを教えると、メモして帰ります。

あれはもしかしたら、ただ場を和ませるためにトークしてるのかもしれないけれど、少なくともそういうことを必ず聞いてくるっていうところはありますね。

あとはどの人もそうですけど、話し好きが多いですね。話し好きっていうのは、自分が話すんじゃなくて相手の話を聞く。そこから情報を得るみたいなことをされてる方がすごく多いって印象はありますね。

ーーじゃあ、投資家は聞き上手ってことですか。

そうですね。有名な人って何かの懇親会とかがあってもすぐ帰っちゃう人が多いんだけど、(ジム・ロジャーズさんは)結構いつまでもいますね。

あとは、新聞は全て見ていますよ。朝起きて全部の新聞に目を通して、そこから考えるみたいな。だからやっぱり情報収集はしたほうがいいんでしょうね。それは習慣にしたほうがいいんでしょうね。

ーーそれだけ情報には価値があるって思っているんでしょうね。

思ってるんでしょうね。それは疑うことも含めて。どういう報じられ方をしてるかとか。

時間がないときはどうするんですか?って聞くと、記事の大きさとかで情報の「エネルギー量」がわかったりするので、記事が大きいところだけ見るということもするそうです。

どの人も言うのは、「日本にとどまらないで、色んなところを見に行け」と。そうすると、日本のおかしいところが分かって、そのおかしいところにソリューションを与えている会社がすごく伸びたりすることがあると。その目線を忘れないように海外に行けって言われますね。『LIFE SHIFT』の著者リンダ・グラットンさんも言ってましたね。

■タクシーに乗ったら、必ず質問をします

ーー谷本さんは海外もよく行かれるんですか?

旅行にはあんまり行けないですけど、出張とかでは行きますね。

そのときは、やっぱり一番「わかる」ようなところに行ったりしてますね。タクシーには必ず乗って、必ず質問します。それは日本でもやっています。

ーータクシーに乗って何を聞くんですか?

景況感です。最近どのくらい混んでるんですか、とか、どのへんが一番混んでるんですか、とか。タクシーの運転手さんってものすごく詳しいですよね。景気の先行指標ですよ。だから外国に行っても一応聞くようにしています。

ーーそれを聞いて、今どうやらどこそこが来ているらしい、とわかるわけですね。

そうそう。私、考えてみればライフワーク結構ありますね。

社長さんに会ったらその業界のことを必ず聞くようにしてます。それはインタビュー内で聞くんじゃなくて、インタビューが終わったときとかに、「本当のところ今景気どうなんですか?」と。「半年くらい先までもちますかね」みたいなことを聞いて、ふむふむ、みたいな感じにしていますね。実感としてそういうのを聞くって大事ですよね。

あとは電車とかに乗ってみる。渋澤健さんもよくおっしゃってますけど。

ーーコモンズ投信会長の渋澤健さん?

そうです。渋澤さんはなるべく電車に乗るようにしてるんですって。電車に乗るか、もしくは街を歩くか。そうしないと経済が分からないっておっしゃっていましたね。

ーー電車に乗ると何がわかるんですか?

何が流行っているかが分かりますね。他の人が話している内容を聞いて、今どんな状況なのかっていう情報を得るんです。

あとは週刊誌の見出しを見る。経営者の方はみんなやってますね。キーワードの抽出のために見ているって言いますね。

とにかく人がそこにいれば、ありとあらゆるところが情報源になるんです。

■金融の話ができないのは、成功を放棄しているのと同じこと

ーー谷本さんご自身、資産運用はこれからどういう風に行っていきますか?今までは自分の夢とか応援したいという気持ちがわりとメインだったと思うのですが……。

今みたいに忙しいなかで、短期売買をするのはちょっと難しいので、引き続きドルであるとか、いろんな為替を幅広く持ちつつ、応援する投資信託(☆)も持ちつつ、あとは応援したい会社さんが出てきたら株で応援させていただきつつ、という形でしょうね。

あとは金融の運用ではないですけれども、自分自身に投資をしていきたいです。学びであったりとか、学生さんのために何かをやってあげてお金を使うであるとか、そういうことでの投資をして利益をもらうみたいなことはしていくつもりです。

☆投資信託(ファンド)とは?
資産運用の専門家が株や債券などを取りまとめて運用してくれる金融商品。ひとたび資金を預ければ、その道のプロが経済動向や個別の企業についての情報収集をし、タイミングをはかって売買してくれる。ただしプロが運用することに対して手数料がかかる。商品選びの際はよくチェックしよう。

ーー世の働く女性たちへの、投資に関するメッセージがあれば。

まず、自分自身への投資は絶対したほうがいいと思います。

女性っていうとどうしても、自己投資というとカラー検定やネイル検定とかが挙がりがちです。ネイル検定やカラー検定が必ずしもよくないと言っているわけではなく、本当にあなたのキャリアを輝かせますか、ということ。将来、きちんと対価が得られるものに投資をして、リスクを取るっていうことはした方がいいなと思っています。

自分自身が本当に価値提供して、価値提供に値するお金をもらえるようになるためのベースを作りましょうと。それにプラスして、もらえた価値としてのお金を運用するために、経済を勉強して、自分自身が成長した先に、利息としてさらにお金をもらえる、ということをやっていかれるといいな、と思います。

経済・金融について学ぶことは、自分自身も確実に成長できますし、成長したものがお金として返ってくる可能性もあります。

ーーそういう意味では確実ですもんね。今、わからないっていう時点で、勉強すれば確実に学べるという意味で。

そうですね。経済とか金融に関する言語、情報というのはビジネスパーソンの「共通言語」です。その共通言語を話せないっていうのは、成功することを放棄しているのに等しいと思うんですよね。自分がもし成功したいのであれば、それは絶対学ばなきゃいけないと思います。

女性は金融の話ができないと思われてしまっているし、だから引き上げてももらえない。きちんとした共通言語を持っているかっていうのが、特に働く女性にとっては必要なんだろうなと思います。

■あなたは本当に何をやりたいの?を考えたら、今始めないと遅い

ーー金融系の共通言語を学ぶのに、手っ取り早いような勉強の場所というのはありますか?

株をやってみるというのは一つの方法だと思います。

新聞を読むのもいいですけれど、どうしてもぼんやり流れちゃうじゃないですか。だからご自身が投資をしてみて、自分のお金がかかっているから勉強せざるをえない状況に持っていくっていうのはいいと思うんですよね。

ーー投資をするってことは、ある意味退路を断つってことですね。

そうですね。金融セミナーにまず行ってみて、よさそうなものをやってみるのもいいと思います。とりあえず自分のお金を「ベット」してしまうのが一番です。

ーー私が一つ思うのは、リスクに慣れることは大切じゃないかなって。小さい失敗をして、これくらいの失敗をしても大丈夫、次はこれくらい頑張ろうってやっていくうちに、リスクの振り幅ってどんどん大きくならないかなって。

そうですね……ただ、一般的なリスクと、いわゆるお金のリスクって別物のような気がしています。

そこはなぜかと言うと、日本の銀行では利息はとても少なくても「減らないのが当たり前」です。その価値観みたいなものを変えない限り、やっぱり難しい気がするんですよね。

いわゆる私生活においてとか、仕事における失敗というのは、誰しもいろんなところで得るものじゃないですか、経験値として。でもお金の失敗というのは、日本においては自分がリスクテイクしない限り、ほとんどないですよね。

ーーなるほど、たしかにお金で自ら意識してリスクを取る経験、というのはなかなかイメージしづらいかもしれません。

リスクテイクすると言うと、ハイリスク・ハイリターンの「一発逆転」タイプか、絶対にリスクを取らない、かどっちかで、すごく振り幅が大きいようにも思います。

でも、そうじゃなくて、中道があっていいような気がしています。例えば、10万円のバッグを買うためのお金は、貯金をしてもいいけど、そうじゃないやり方があるんじゃないかって考える、みたいな。

あるいは大学に行ってもう一回学び直しをしたいというときに、200万円とか300万円の貯金を切り崩すのか、運用して増やすのか、選択をする。

何か「ニンジン」であったり、自分のやりたいことみたいのを中心に考えると、貯金だけじゃなくていいってことに行き着くんじゃないかなと。日本の今の金利であったら、貯金だけだと間に合わないなって気付いたりとか。

自分らしく生きたいとか、自分のなりたい姿をより鮮明に思い描くっていうことが大切なような気がするんですよね。

ーー「やらないといけない」くらいの理由づけ、ですね。

最近の女の子たちに対して思うのは、イメージづけみたいなものが、ものすごく薄いということ。「こうなりたい」という思いはあっても、「でも、ムリムリ……」みたいなことが多いわけですよね。無理じゃないくせに無理と思わないといけないっていう、風潮であったり文化があるって気がするんですよね。

それが運用にもつながっているし、稼ぐ力にもつながっています。どういう人間になりたいのか、何が本当はしたいのかを考えたら、今始めないと絶対に遅いのに。

あなたは本当は何がやりたいの?って言ってくれる人が誰もいないっていうのも問題です。本当はそれは自分自身ができたらいいんでしょうけれども、自分自身でそれを厳しく問い続けるか、そういう厳しく言ってくれる人を見つけるか。もしくはそういうふうに問われるような環境に身を置くかですね。

ーーちなみに今後の谷本さんご自身の方針として、起業の可能性はあるんですか?

起業は、今のところはちょっとなくなっちゃいましたかね。どっちかっていうと、起業をして誰かを食べさせていくことよりも、自分自身、ひとりのジャーナリストとして価値提供できている部分があるので、起業という形態が一番ではないような気がしています。

ただ今は色んな活動をしているので、女性の活躍の場であるとか、そういうことに関してはもしかして起業であったり法人化みたいなことは、もし起業が一番いい形であれば、そのときに、いつでもやろうかなと思っています。

ーーありがとうございました。

■力強い言葉に勇気をもらった

谷本さんの言葉はどれも力強く、投資に前向きになれるものばかり。自分は本当に何をやりたいのか?をもう一度自分にも問いながら、次はどんな投資に取り組もうかと頭を巡らせたのでした。

最後に、インタビューを終えてから、2つの質問に谷本さんに答えていただいたので、その回答をご紹介して締めくくります。

Q1.「資産運用で失敗」をした原因を3つ挙げるとしたら、何ですか?
①感情移入
②希望的観測前提の投資シナリオ
③周りに同じ考えの人がいて、その人達からの影響、同調

Q2.今から資産運用を始めようとする人に伝えたいことを3つ挙げるとしたら、何ですか?
①自身の投資へ向かう理由、目的を考える
②十分なリサーチ
③投資を楽しむ(損も含めて)

(谷本有香さんの失敗談、おわり)

■取材に協力してくれたのは…

谷本 有香(たにもと・ゆか)さん
Forbes JAPAN副編集長 兼 WEB編集長。証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、2004年に米国でMBAを取得。その後、日経CNBCキャスター、同社初の女性コメンテーターとして従事し、2011年以降はフリーのジャーナリストに。多数のテレビ番組に出演の他、メディアへのコラム寄稿、経済系シンポジウムのモデレーター、企業のアドバイザーなども務める。これまで1000人を超える世界のVIPにインタビューした実績をもつ。著書に自身のノウハウを凝縮した「アクティブリスニング なぜかうまくいく人の『聞く』技術 」(日本・台湾・韓国で出版)など。

くすい ともこ
DAILY ANDS編集長。北陸の地方紙で5年間記者として勤務後、Web編集者に。「無理のない範囲でコツコツ」をモットーにインデックス投資を始めるも、含み損がコツコツたまっている。

(提供:DAILY ANDS)

最終更新:5/9(火) 11:10

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